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鉄と真鍮でできた指環 《1》 ~学院の賢者~  作者: とり
 【本編】第7幕 人をさがして
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54.じつはそんなに、仲よくなくない




 ・前回のあらすじです:『迷宮の六層目で、あかねと会った和泉いずみは、比奈子ひなこがいなくなったことを伝える』


 ・今回の大枠です:『茜が、比奈子のいるフロアに飛びます』









比奈子(ひなこ)がいなくなったって……」


 (あかね)は、頬杖ほおづえをついて言った。


「どのへんで? ていうか、比奈子も来てたの?」


 和泉(いずみ)はうなずいた。


「授業で出た課題があって……二層目(にそうめ)までは、いたんだけど」


 比奈子は、「待ってて」と言って、ひとりでどこかに行ったっきり、帰ってこなかった。


 和泉の横で、(あおい)が肩をすくめる。


「そのようすじゃ、茜も見てないってことね」


「悪かったね」


 茜は、ベッと舌を出す。


 和泉(いずみ)たちのいる場所は、半壊(はんかい)した建造物(けんぞうぶつ)の正面だった。荒野に、忽然(こつぜん)とたたずむ砂色(すないろ)遺構(いこう)。その奥には、さらに地下へもぐるための通路がある。


 (あおい)は妹に言った。


「そろそろ行くわ。……夜までには帰るのよ」


「うるさいなぁ」


「あと、誰にでもホイホイ声をかけないこと。いい加減やめなさい。お願いだから」


「ほんとうに、うるさい」


 (あかね)は片手で頭をかかえた。すこし考えて、くちを開く。


「ねぇ、ちょっと待って」茜は和泉(いずみ)()いた。「比奈子(ひなこ)、なにか持って来てたとかない? あるいは、拾ったとか」


 和泉は、あっ、と顔をあげた。


「そうだ。落としもの。誰かに届けてくるって言って、それで……」


「なんで誰かが落としたものだって、断言できたの? 落としているところを、和泉たちは見たの?」


 茜は、細いひざ小僧(こぞう)に手をついて、くずれた段差から立ちあがった。和泉は沈黙する。


精霊石(せいれいせき)を拾ったのかもしれない。比奈子……」


「『せいれいせき』?」


 和泉(いずみ)は訊き返した。説明は無かった。


「なに(いろ)だったか、分かる?」


 (あかね)はスカートのポケットから、小さい宝石を準備した。正八面体(せいはちめんたい)の、黄色(きいろ)い石だ。淡い(きら)めきのなかに、『48』という数字がある。


「えっと、赤色(あかいろ)……だったかな」


 和泉(いずみ)は答えた。茜は、持っていた石を捨てる。


「……六十六(ろくじゅうろく)(そう)だ」


 新しく、(むらさき)の宝石をつかみ出す。内部に浮かぶ数字は、『54』。(あかね)は宝石を握りこんだ。


 一瞬後、茜のいた場所には、誰もいなくなっていた。







 ・読んでいただき、ありがとうございました。




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