43.石橋をたたいてこわす
・前回のあらすじです。
『ヒロインの茜が、使い魔にお説教をくらう』
・今回の大枠です。
『主人公の和泉が、行ったり来たりします』
(まいったなあ……)
和泉は、草の上をうろうろしていた。
今月の末までに、【迷宮】から【魔鉱石】を十個、集めてこなければならないのだ。
彼は初等部の六年生――十二才になっていた。暦は、十月の終わりに差しかかっている。
【迷宮】は、魔物の棲む、魔法資源の産地である。初等部の魔術師は三階までしか立ち入りを許されていなかった。
和泉は右往左往を繰り返す。彼から離れた場所には、白い神殿が建っていた。教員や研究者、ずっと年上の学生たちが、開け放した扉をくぐっていく。
白亜の建物を、和泉は振りかえった。
(うーん。でも、オレひとりで行って、大丈夫かなぁ)
攻撃系の魔術は、まだ自信がなかった。授業での対人戦では、順位は下のほうだった。魔物と戦うとなれば、死ぬかもしれない。
(なんで、『魔法資源探索演習』なんて、採っちゃったんだろう)
それは必修ではなく、自由選択の科目だった。
理由はハッキリとしていた。気になる女の子が、迷宮に頻繁に出入りしていると知っていたからだ。彼女の助けになれるくらい、和泉は魔術師としての腕をみがいておきたかった。
しかし。学舎のほうに、踵をかえす。
(や、やっぱり、明日にしよう)
城めいた造りの校舎は、神殿からくだる通路の先にあった。和泉は今日も、課題を先のばしにしようとした。
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