41.予言(よげん)
・前回のあらすじです。
『魔法のコツを教わろうとした和泉が、茜に喝を入れられる』
・今回の大枠です。
『屋敷に客人が来ます』
和泉が賢者邸に入り浸って、半年ほどが過ぎたころだった。後期のテストが終了し、学院は、新学期までの長い休みに入っていた。
外は、朝から曇っていた。
その日も和泉は、午前から茜の家に来ていた。二階の研究室で、彼は四精霊の魔法を練習していた。
玄関から、カラン、カランと、呼び鈴が鳴る。
「出てきます」
チャコは客人を迎えに行った。少しすると、彼女はひとりでもどってきた。
「ご主人さま、櫻さまがいらしています」
使い魔の声は硬かった。茜は、本から顔を上げた。
「入ってもらいなよ。ていうか、すごく久しぶりじゃない?」
「そうですね。……いちおう、確認は取ったのですが。『些細な用事だから、外でいい』、と」
「せわしないなぁ」
茜は本を床に置いた。和泉は部屋のまんなかで、補助用の魔法陣に手をかざしていた。セーターと、綿の長ズボンが焦げている。彼はさっき、火の魔法を失敗したところだった。
「櫻って、櫻 比奈子?」
「うん」茜はうなずいた。「和泉と会う……ちょっとくらい前かな。それまで、よく来てくれてたの」
「ふーん。オレと同じクラスの人だ、たぶん。……あんまり、話したことないけど」
茜は廊下のほうに歩いていった。
「ちょっと行ってくるね。私がいないからって、その辺にあるものくすねたら、キレるよ」
「やるわけないだろ……」
少女は玄関におりていく。
むん、と気合いを入れなおして、和泉は魔法の訓練をつづけた。
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