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36.年下の女の子
・前回のあらすじです。
『主人公の和泉は、過去をふり返る。彼は六年前に、ヒロインの茜と、庭で出会った。』
・今回の大枠です。
『和泉が、茜の誘いをことわります』
午後の授業は、まだ終わっていなかった。今は五時間目の途中である。
和泉は初等部の五年生だった。
「サボってるの?」
茜は訊いた。
少女をよけて、和泉は庭を歩いた。行くあてはない。ただ外の空気を吸って歩いていると、いやなことが全部、どこかへ遠ざけられる気がした。
「ねー、ヒマなら遊んでよ」
茜はついてきた。和泉は立ち止まった。振り返る。
「おまえ、知ってるぞ。史貴 茜っていうんだろ」
「うん」
少女は首を縦に振った。
金色の髪が、ちかりと木漏れ日にまたたく。ペンダントが光る。それは鎖で吊った、指環だった。
優秀な魔術師に贈られる、『才能ある者』の証。
「いいよな、天才は。そーやって遊んでても、すごい魔法が使えたりするんだもんな」
茜はキョトンとしていた。緑の目を、パチパチさせている。
ふん、と和泉は悪態をついた。今度こそ、少女を放って歩いていく。
彼は茜のことがキライだった。
自分が欲しかったものを、全部持っていたから。
読んでいただき、ありがとうございました。




