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鉄と真鍮でできた指環 《1》 ~学院の賢者~  作者: とり
 【本編】第2幕 迷宮
11/205

10.ラビュリントス




 ・前回のあらすじです。

 『主人公が、学院がくいんから消える』


 ・今回の大枠です。

 『実験失敗後の、主人公の話です』






 ・・・・・・



 古代こだいの柱とアーチが、天蓋(てんがい)ささえている。


 れた壁面のそとには、赤と黒の天体てんたいが流れている。


「ここは……迷宮(めいきゅう)か?」


 和泉(いずみ)は、白亜の神殿にっていた。


 実験じっけんの失敗によって、この場にやってきたのだ。


 本来ほんらいならば、彼は学院にいるはずだった。

 しかし、魔法まほうが混乱し、和泉は世界の『壁』をぬけて、怪物の()む土地にまよいこんだのだ。


 和泉は、あたりをまわした。


 よどんだそら。折れた石柱いしばし。くずれた彫像ちょうぞう。積もる瓦礫(がれき)


 それらは、見覚えのある光景こうけいだった。


 魔術まじゅつもちいる植物や、鉱物(こうぶつ)資源を豊富にはらんだ、人知およばぬ、太古たいこ遺物いぶつ


 人ならざるものの()()


 ここは、【迷宮】の第一層目だいいっそうめ


 通路つうろをめぐり、階下かいかへの道を見つければ、より深い層にいたることができる。


 地下ちかへともぐればもぐるほど、生息するものは強固になり、手に入れる魔法資源は、希少価値の高いものへと変化する。


 和泉(いずみ)は、かつてこの【迷宮】で、大切な人をうしなった。彼女は今も、地下深くにつらなる、幾重(いくえ)ものフロアの、どこかにいる。


 それは、確信のふりをした、いのりだった。


 背後はいごには、【ポーター】がある。


 迷宮めいきゅうの出入り口を(にな)うその穴は、岩にできた裂け目のかたちをしていた。


 かつては、きれいな球形だったが、それは異なる世界のあいだにあいたトンネルが、安定していたためであった。


 現在、くちを開けている赤いひずみは、事故でできた、一時的いちじてきなものである。


 今ならまだ、安全の保障された居住地にもどることができるだろう。


 しかしそれは、みずからチャンスを手放す行為こういひとしい。


 和泉は、まえに向きなおった。


 目指めざすのは、第六十六層目だいろくじゅうろくそうめ


 若すぎた賢者けんじゃ史貴(しき) (あかね)が、肉体を失った場所である。


 和泉(いずみ)は駆けだす。

 さきの見えない通路へと、直進する。


 けもののうなり声がった。


 瓦礫がれきから、四つの影がぶ。


 影は、和泉のまえに着地した。それはの長い、ずんぐりとした、生きものだった。


 猿の筋骨きんこつを鍛え、体毛を黒にして、ぼうぼうと伸ばした風情ふぜいけもの


 山の精霊せいれい、【コボルト】だ。


 には、骨製の棍棒をっている。


 むきしの牙のすきまからは、白い呼気を()いている。


 精霊たちは、本来、人間には感知できない上位の存在そんざいだった。彼らは自然の調停者であり、魔術師の協力者きょうりょくしゃであった。


 だが、迷宮めいきゅうを根城とする個体は、フィールド内にただようちからに()てられて、人や万物の『まも』としての本分を失い、異形の肉体にくたいを持つ。


 彼らは(おも)に、人を食べた。








 ※冒頭ぼうとうの構成を、変えました。




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