亀甲縛りから始まる転生生活
普通のおじさんが異世界に転生する話
常々思っていた。
家にいて突然災害に見舞われたり、突然意識を失ったり、異世界転生したりしたら詰むなって。
麻縄くらい着といたほうが良いなと思う反面、いやいや麻縄は着るもんじゃないと思ったり。
私は、仕事を終えて一人暮らしの六畳間に帰ると酒を煽りながら、そんなありもしないことを想像してはにやける、亀甲縛りが日課の普通のおじさんだった。
あの時まではー。
いつも通り酒を煽り、亀甲縛りに満足して眠りについた。身につけていたのはお気に入りの真っ赤な麻縄。
朝になると、その感触に震えながら起きていつも通り会社へ行くはずだったのに。
普通のおじさん