【SS】彼女なりの愛情表現と、私の不安の解消
君は私をどう想っているんだい?
飄々とした態度でいつも一緒にいてくれるが、機嫌が悪い時は眼すら合わせない君。
今日の私にはどうしてもハッキリと相手の言葉で知りたかった。
「急にどうしたんだい?
君からそんな風に聴いてくるなんて、明日は雨かなー、にゃはは」
君は私に心を開いてくれている態度かと思えば、ふいに攻撃的になる。
本当に猫みたいで、君の本心が分からないんだよ。
「日本人は皆、言葉にしないと分からないなんて言うけれど、ホントは真逆なんだよ。
そもそも君は自分の感情を全て正確に、尚且つ相手との認識の齟齬無く言語化出来るのかい?
言語なんていうものは結局便利な道具にしか過ぎないモノなんだよ。
だからこそ相手を観察し、態度と言語で自身の感情を伝えるんだよ。
そしたら相手からは同様に返ってくる。
それを噛み砕いて理解する努力をし、言葉と態度を返すんだ。」
そこに不安感や焦燥感を感じる場合はどうすれば良い?
「日本語は表現豊かなんてのが定説だけれども、それは単純に観察眼の無さから言語という道具を進化させただけなんだよ。
だから性行為やそれに類する行為で表現しやすい、愛情表現に関しては酷く乏しい。
君は愛と呼ぶには重すぎて、好きと言うには軽すぎる感情を抱いた事はあるかい?
理解しやすい言葉で言う所のLOVE or Likeだね。
相手がこの距離感だとして、自分が愛を感じると齟齬が生じるよね。
その齟齬を摺り合わせて自身の中で消化する事こそコミニュケーションじゃないかい?」
つまりは僕のコミニュケーション能力の欠如だと?
「今回の問題はそうじゃないんだよ。
単純に僕が気分屋で、尚且つ心を開いた相手にこそこういった態度になる拗らせた人間だって事。
そして今の僕はこういった会話で君と言葉遊びをするのがお気に入りって事。
僕としてはここが一番重要かなぁー、わかる?」
そういって笑う彼女とこれからもこんな言葉遊びを続けてたいと思ってしまう私も随分彼女に感化されて拗らせてしまったようだ。
本当に君は面白いよ。
「そこの認識に関しては僕も同意だよ。
ここまで僕に執着心を持って付き合ってくれるのも君くらいのものだ。
これからも期待しているよ。」
そういって、にゃははと笑う君の笑顔が僕は今後も見ていきたいのだろうなと。
これは当分君には敵わないや。
end