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第1話 ミットラスへの招待状


「あー‥‥‥頭痛ぇ‥‥‥‥‥」


プレーにのめり込みすぎて、時計を全く見ていなかった。すでに夜1時を過ぎている。ゲームをすると周囲のことが見えなくなる‥‥‥俺の悪い癖だ。


頭痛に加えて、腹の虫が鳴りっぱなしだったことにも気付く。仕方ない、少し遅いけどカップ麺でも食うか。


俺はおもむろに立ち上がると台所に向かった。一応自炊も出来るが、めんどくさいので最近は全くしていない。最早この場所は給湯室としてしか機能してなかった。


お湯の入ったカップ麺を持って部屋に戻ると、1通のメールが届いていることに気付く。

多分注文しておいたコントローラーの発送通知だろう。そう思って俺はメールを開いた‥‥‥

が、そこに書いてあった内容は俺の予想と全くかけ離れていた。


〈リョウ様へ


いつも〈BT《バトルタイタン》〉をご利用いただき、有難うございます。


この度、当社は新作VRゲーム〈Mitlas《ミットラス》〉を開発しました。


現在このゲームではバランス調整が難航しており、一般の方にもプロジェクトへの参加をお願いしております。


〈BT《バトルタイタン》〉ワールドランク1のリュウ様もこのプロジェクトへ参加していただけないでしょうか?


もし参加していただけるなら、特典としてVRゴーグルを無料で差し上げます。


ご返事お待ちしております。‥‥‥〉


「何だこれ‥‥‥VRゴーグルが‥‥‥無料?」

VR。以前からやってみたいとは思っていたが、設備投資に金がかかり過ぎるので諦めかけていた代物だ。それが無料でもらえる‥‥‥


(まじか‥‥‥やった!)


とうとう俺にもツキがまわってきたというものだ。

この話、俺にメリットしかないぞ。

俺は速攻で参加希望の返信を打ち込んだ。

これが俺の運命を大きく変えることも知らずに‥‥‥


3日後。俺は学校にも行かず、VRゴーグルが来るのをひたすら待ち続けていた。

不意に、玄関のチャイムが聞こえてきた。


(来たな!)


俺はダッシュで階段を降りた。配達員からダンボールを受けとると、すぐにそれを素手で引き裂く。


「おぉ‥‥‥これが‥‥‥」


中には〈Mitlas《ミットラス》〉と書かれた円盤と‥‥‥お目当てのVRゴーグルがしっかり梱包された状態で入っていた。


それを確認するや否や、俺はすぐにソフトをパソコンに突っ込み、付属のケーブルをゴーグルに突き刺した。


今は説明書を読む時間が惜しい。一刻も早くプレーしたいのだ。


VRゴーグルを頭に装着してから程なくすると、視界が白い光に包まれる。そこから、

〈Mitlas《ミットラス》〉

の文字が浮かんできた。


これで、俺もようやくゲームの中の世界に行ける‥‥‥


そう思ったときだった。


不意に、画面の光が強くなる。かと思うと光は消え、また一瞬のうちに強く発光したりと、変な点滅を繰り返した。なんだか頭痛がしてくる。


「ちょ‥‥‥やばっ‥‥‥‥‥‥」


早くゴーグルを外さなければ。そう思って、頭に手を伸ばす。

が‥‥‥


「!?」


なぜか、ゴーグルは全く外れない。まるで頭に縫い付けられているかのように。

その間にも点滅は勢い増してゆく。だんだん意識が保てなくなってゆく‥‥‥


「誰‥‥‥か‥‥‥‥‥‥‥」


俺の意識はそこで途切れてしまった。



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