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急いで、歩美が待っている
教室へ向かう。
何がなんだか分からなくて
歩美の顔を一刻も早く
見たかった。
教室に向かいながら、
心の中で何度も
(どうした俺、何をビビってんだ!少し落ち着け)
と言いかけた。
教室のドアを開けると…
もうそこには、歩美は待ち疲れたのか机に伏せて寝ている
歩美がいた。
俺は、歩美の寝ている姿を
見た瞬間、なんかホッとした。
起こさないように
教室から出て、
学校に置いてある
自動販売機へ向かった。
もう少しで着くと言う所で
思いもよらない奴から
声をかけられた。
『ともや〜、なにしてるの?』
俺が、振り向くと
優美が立っていた。
優美とは、
歩美の大の親友だった。
優美とも小学、中学一緒だったが、歩美と一緒にいる時にしか話をした時が無かった。
『優美!おまえもこの学校だったんだ!』
『そうだよ!智也もこの学校だなんて知らなかった。ここで何してるの?』
『ちょっと、喉乾いたからジュース買いに』
と言うと、
優美は、
『そうなんだ♪私はこれから部活だからじゃーね♪』
と言って俺の前から
立ち去った。
優美も一緒だったとは、
思わなかったと
思いながら自販機に向かって走る。
暖かい紅茶を2つ買って
急いで教室に戻る。
教室に戻ると、
まだ歩美は寝ているようだ!
そぉーと、
歩美に近づき、
『ごめんなぁ、待たせちまったな』
と言うと、
歩美は起きて
『大丈夫だよ!智也は大丈夫だった?』
『あぁ〜!帰ろうか♪』
と言うと、
すかさず、歩美の得意技
エンジェル スマイル炸裂!!
危なく、今日は効くところだった。
歩美が帰る支度が終わるのを
見計らって、さっき買ってきた紅茶を渡す。
すごく嬉しかったのか、
満面な笑みで
『ありがとう♪』
と言われた瞬間、
心地よい風が吹いてきた。
学校から出た俺と歩美は
たわいもない話で盛り上がっていた。
学校から家までは電車通学で、二駅行った所にある。
駅に着き、帰りの電車を探す俺『えーと、18時35分着か』
今の時間は、18:00
『35分も待ってなきゃいけないのかぁ…』
と言うと、
歩美が
『そこのベンチに座って待ってよう』
と、笑顔で言ってきた。
『そうだな』
と一言だけ俺は答える。
そこまで立派な駅ではないが、
無人駅でもない。
ごく普通の駅だ。
俺が座ると同時に
『今日は災難だったよ。変な先生が担任だし、猛と一緒のクラスだし、変な入学届けが送られてきて怒られるし、』
と俺は思わず漏らしてしまった。
それを聞いていた歩美が
『猛君優しいじゃ、私好きだなぁ♪ あ、…変な意味じゃないよ』
(誰も疑ってないぞ。なんだその焦り…?)
と思いながら、俺は
『分かってるよ』
と返事をする。
『それに、変な入学届けって何?怒られたの?』
と不安そうに聞いてきた。
『すげー怒られたわけじゃないんだけど、異例の事で正直ビックリしてたみたいだよ。でも絶対誰にも言うなよ!』
『智也が嫌がる事はしないから安心して♪』
と歩美が言う。
それを聞くと
俺は凄く安心した。
と、同時に電車がきた。
『それじゃ、行くか!』
『うん♪』
と電車に乗り、家路に向かって帰っていた。
次は、歩美の視点からの気持ちです。