3−1
校長先生から、
『犯人探せ』
と言われた俺は、職員室から出て教室に向かいながら、色んな奴の顔を思い出していた。
猛に…優美…、
そして、一番疑りたくない……歩美
(歩美はそんな事しない…と願いたい!)
と思っていた。
まだ、教室では淳子先生の数学の授業の最中だった。
教室のドアをそぉーと開け、
自分の席に戻ろうとしたら、
『そこのコソドロ君、ちゃんと戻ったら、言ってきなさい!』
と淳子先生に指されてしまった!
『あっ…すいません。今戻りました。』
と言うと、恥ずかしくなり苦笑いしていたら、
先生が目で合図してくる。
俺は、んっ?と思い、
先生が合図を送る方に目をやると、歩美が満面な笑みで
こちらを見ていた。
今に目泣き出しそうな表情だった。
『ごめん!心配かけて』
と歩美に小声で言うと、
『もう、女の子を泣かしちゃいけないんだぞぉ☆…なんちゃって♪大丈夫だったの?』
と聞いてきた。
俺は職員室で言われた事を言えるまでなく、嘘をついた。
『あぁ、大丈夫だった!俺に親が渡すもの有ったみたいだったが、忘れていたみたいで持ってきてたんだよ』
と言うと
納得いかない表情で
『ふ〜ん、そうだったんだ。』
と歩美が言って、
またノートに授業の内容を映し出す。
俺は、1つ深呼吸して授業に参加した。
【キ〜ンーコ〜ンーカ〜ンーコ〜ン♪】
と、チャイムが鳴った。
『ウワァ〜終わった、終わった。』
と背伸びして言っていると
歩美が近づいてきた。
『智也、部活何するの?』
と歩美が聞いてきた。
俺は、別にやる事ないので
『まだ決まってないなぁ〜』
と言うと
『あ、そうなんだ♪』
と歩美が嬉しそうに言ってきた。
『何か歩美はやりたい事あるのか?』
と聞くと、
『それじゃ、今日の放課後一緒に付き合って♪』
といかにも待ってましたと言わんばかりの笑顔だった。
今日の授業が終わって、
放課後、歩美のそばに近寄ったら
『ちゃんと、覚えてくれたんだ♪』
と言ってきた。
俺は、膨れ面になり
『別に帰っても良いんだけどなぁ〜』
と言うと、
『ゴメン×2』
と言ってきたのを見て、
俺は笑みがこぼれた。
どこに行くのか分からずじまいのまま歩美の後を着いて行く。
連れてこられた場所は、
体育館だった。
『おい、こんな所で何すんだよ?』
と聞くと、
歩美が一つ咳払いをして、
口を開いた。
『今回、智也を呼んだ理由は…』
俺は、その言葉を聞いてあっけにとられてしまった。
『私も力になるから!』
と歩美がまた付け加えてきた。