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因縁3

森にポツンと建つ小屋。

僕は二人を抱えたままその小屋に入って行った。

とりあえず、ここで落ち着こう。

僕はそう思いながら二人を下す。


「どうしてこの子を連れてきてしまったんだろう。」


もしかして、僕はそういう趣向があったのか?

正直、記憶が殆どない。

記憶が飛べば人格も飛んでしまう、のか?

フェルミナに聞いてみないとわからないな・・・。


「おい、フェルミナ!」


反応が無い。

・・・どうやらあの時だけらしい。


「キサギに外傷は見られない。骨も、多分折れてないんだろう。」


正直、こいつが不思議だ。

僕の暴走状態の攻撃を喰らっても立っていられる。

そして、あの突進にもほぼ無傷でいられる。


「やっぱ、不思議なんだよな・・・。」


僕より戦闘の知識があるにしても、基本性能も高い。

それに、肌も白くて体つきも・・・。


「い、いやいやいや、これは関係ない!これは、関係ない・・・と思う。」


決して触りたいとか、そういうことを妄想しているとか、そういうことは一切ない。

お、落ち着くんだ。落ち着くんだ童貞!

———あ、いやでも本当に童貞なのか?記憶ないし。


「あれ、記憶ないって恐ろしい?」


今更ことの重大さに気付き、頭を抱える。


「ん———。」


そんな脳内論争が収まり出した頃、キサギが弱弱しい声を上げていた。

・・・ちょっとドキッと来ました。


「キサギ、大丈夫か?どこか痛むところとか・・・・。」


キサギは震える腕に力を込め、立ち上がる。

しかし、フラフラと体を揺らして不安定だった。


「おい、立つな!大人しくし・・・てろ。」


キサギは僕に近寄る。

僕は反射的に後ろに下がる。

ある程度下がった時、背中に壁が当たる。


「うわ!」


僕は焦りのあまり足を滑らせ、地面に尻を着く。

するとそれに反応して、キサギも体を下に寄せる。


「き、キサギ!?な、何があったんだ?何がどうしたんだ!?」


キサギの顔が僕に近付く。

ま、不味い。

これ以上避けられない・・・。


「き、キサギ!」


僕は目を瞑る。

すると予定していた場所にではない所に鋭い感覚が伝わる。


「痛・・・って、え?」


僕は目を咄嗟に開ける。

すると、キサギが僕の首元に噛みついていた。

そして、僕は少しづつ自分の魔力が減っていることに気付いた。


「まさか・・・あの子は。」


僕はあることに気付いた。

ヴァンパイア。

血を糧に生活をするモンスター。

もしや、あの女子は・・・。


「ファぁぁ。よく寝たー!ってあれ?何をしてるの?」


噂をしたばかりに女子は起き上がった。

そして、現状況の僕とキサギをじっと見つめた。

そして、少し時間が経ってから女子はニヤリと笑う。


「へぇ、そうなんだ・・・。」


僕は、女子の笑い顔に恐怖を覚えた。

まさか、キサギは・・・ヴァンパイア化しているのか?

そして、血を求めて僕に噛みついたのか?

と、したら・・・こいつは!!

僕は女子を睨む、だがこれ以上は動けなかった。

そして、女子はこう言葉を発した。


「二人はふうふなんだね!」


「・・・え?」


予想外の回答に、僕は戸惑う。

ふうふ?夫婦のことか?

え、端から見たらそう見えるの?

ちょっとうれし・・・いやいや、違う違う。


「ち、違うぞ?というかこうなったのはお前のせい・・・。」


「違うの?あいしあっていないの?」


「ない、断じてない。」


「そっかぁ・・・。」


的に外れ、女子は残念がる。


「パパはそう言ってたのに・・・。」


「ざ、残念だったな。外れて。」


女子は下に俯く。

その姿は年相応の女の子、と言ったものだった。


「じゃあ、私も吸う!!」


「え?」


そう言って女子は僕に飛びつく。

その威力を殺すことが出来ず、壁に頭をぶつける。

また、僕の意識は遠のく。


———これ、リア充っていうのかな?



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