プロローグ
錦織 颯、それが俺の名だ。俺は今、幼馴染みの 不知火 華音、と帰宅している。
「華音」
俺が名前を呼ぶと華音はこちらを向く。
「…………」
そして無言。そう、彼女 不知火 華音、は末期のコミュ障なのである。
そして俺が彼女を呼んだ理由は
「歩きにくいんだが……」
華音が俺の腕にくっついてきてとても歩きずらいからである。
「………………」
それを言うと華音が颯に恨めしそうな目を向ける。
「恨めしそうな目をしてもダメだ」
俺がそう言うと華音はシュンとして悲しそうな顔をしながら腕から離れる。
「………………」
そして怒ったかのように歩くスピードを上げ、横断歩道を渡った。華音が横断歩道の真ん中に来た辺りにトラックが突っ込んでくる。
「華音っ!!」
颯が叫ぶ。それと同時に颯は華音を突き飛ばした。
「華音、今までありが────「キキッーー!!」」
トラックは俺を撥ね飛ばし俺は上空五メートル位まで吹き飛んだ。
「ドンッ!!」
鈍い音と共に俺は地面に叩きつけられた。
「颯っ!?……颯!!死んじゃ嫌だよ……死んじゃ嫌だよぉぉぉぉぉっ!!」
そして少女の悲痛な叫びがその場でこだました。
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