始まりのまえの始まりの話
「最近暇じゃない?」
そんな一言で始まった物語があった。
ある少年少女がそう思って始めた旅があった。
そうして創った世界があった。
もう少し後から始まる物語は二人が全てを経て創った世界の話。
少年は最初の旅でこう感じた
-おれは何も知ってなんかいないんだ-
その時、身に染みた感情は本人にしかわからない。
ただ、その言葉は現実を見て落胆に似た気持ちを抱いたからではなく、自分を取り巻く全てが"自分の全て"になっていた事に気付いたところから出た言葉だった。
少女が感じた事はもっとわからない。
それは、彼女が少年よりも遥かに"今"を生きているからだ。
きっと、この二人に見えている現実は誰よりも分厚いのだろう。
自分らが、信じ、疑う事を最後まで他とは混ぜずに、歩み、形付けて来たから"ここ"は、こんなにも簡素で深く少し涼しく色味が無くて美しいのかと思う。
彼等の旅はまだ"ここ"で続いている。自分の中にいつ迄も煌々と光っている何かを探して。
これから始まる物語の主人公達も言葉には換えられない何かを探してここに来たのだろう。
-だから思う
ここは自分を映し出す鏡そのものだ
求めたものが真実や現実と共に跳ね返ってくる
その時に感じる事は皆、大差は無い
表現は見つからないが、立って居なければならないその一線に立ち続けて欲しい、立って居なければ届かないその一線に
-だから想う
自分の中の"全て"の為に歩み続け、闘い続けてゆく全ての者に、彼達の旅に幸運を。と