アニバーサリー
カナン……可南……
誰かが私の名を呼んでいる。
でも、ひどく懐かしい、その声は……
「……カナン。目、醒めたか?」
「稜クン……」
開いた瞳の前には、稜クンの顔があった。
「大丈夫か?」
心配そうな彼の言葉。
「私……。眠ってた……?」
「ああ。暫くの間な」
部屋の南側のバルコニーの外は、もう黄昏時だった。
どのくらいの間、こうしていたのだろう。
よくは思い出せない……。
「……その。躰……。平気か?」
彼の言葉で改めて自分の躰が常になく重く、ジンジンとある鈍さを感じていることを意識する。
「やっぱり無理、させたよな……。すまない」
「ううん。大丈夫」
微かに笑って応えた。
本当は、ほとんど気を失いかけたほど、それは衝撃だった。
でも心は、今まで過ごしてきた時間のどの瞬間よりも幸福感に満ち溢れている。
「稜クン」
彼の胸へと再び身を預ける。
また、泣きだしそうになる。
「可南。……何故泣く」
「幸せだから」
「俺も今、人生で一番最高に幸せだよ」
彼が私をそっと抱き締める。
2月14日・聖ヴァレンタイン・デー。
「愛してる……。カナン」
「稜クン。私も……」
チョコの匂いの香る、文字通り甘い口づけを交わし、契り逢い、稜クンと私……二人にとって、それは決して忘れられない「記念日」となった。
了
HAPPY VALENTINE`S DAY ‼︎
皆さま、どんなバレンタインデーをお過ごしですか?
カナンと稜のバレンタイン・エピソード、如何だったでしょうか。
来月、二人のホワイトデー・エピソードを投稿予定です。
どうかよろしくお願いします(^^)




