33/38
新しい繋がり
大輝に展示の宣伝をしてもらう約束をしてから、一時間が経過した頃。
チラチラと教室の中を伺いみる視線があった。それに気づいた亮が立ち上がると、「文研部ってここであってますか…?」と尋ねてきた。
(あれ?もしかして同じクラスの?)
「林田君、だよね。うちの展示を見に来たの?」
「うん、外でオリジナルのライトノベルを配布してるって聞いて。仁科君、で良かったよね?」
基本的にクラスに友人がいない亮はもちろん彼と話した事はなかったが、名前だけは心得ていた。
「どうぞ、手にとってみてよ」
「へぇ、すごいね…想像してたのよりもずっと本物に近いと思うよ。イラストも綺麗だね」
「まぁ、俺が描いたんじゃないんだけどね。一年生の女の子が描いた絵だよ」
話によると、林田はかねてより小説の執筆には興味があったらしい。読んでいる作品にも共通するものが多く、しばらく二人はお喋りに花を咲かせていた。
「そういえば、この前の時間中尾先生に本とられてたよね。大丈夫だった?」
「出来れば忘れてたかったんだけどなぁ…」
冗談めかした仕草で亮が肩を落とすと、林田がプッと吹き出した。
「次からは数学で読まないようにしなきゃね?」
進級から数ヶ月がたって最早諦めていたが、不思議な縁で新しい居場所を見つけることが出来たのだった。




