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第6話 草原とモンスター

 俺とケイトは今、南門から出た所にある草原に立っていた。


「いやいや、人多すぎだろ…」

「俺もここまでとは思ってなかったわ」


 まさに、そこには見渡す限り人、人、人。とにかく人で溢れていた。


「これは諦めて北門の方に行くか?」

「いや、あっちのモンスターはこっちより強いんだろ?俺はゲームだけど死なない事を目標にしてるからなぁ」

「そっか、じゃあ人いない所が見つかるまで奥に進んでみるか?ここのモンスターはずっと変わらないらしいし」

「そうだな、とりあえず歩いてみよう」


 俺はただ歩くだけではもったいないと思い気配察知のスキルを使いながら進んで行った。するとこれが上がるわ上がる。15分ほど歩いていただけでLV.1だったのがもうすでにLV.5まで上がっていた。


「だんだん人が少なくなってきたなぁ。おいスバルここら辺でいいか?」

「おう、周りに人もあんまり多くないしここでいいよ」

「じゃあまずはあいつを狩ってみるか」


 そう言ってケイトが指差した先には体長50センチくらいの大きなウサギがいた。


「あいつの名前は決闘兎(デュエルラビット)って言ってFランクのモンスターだ。一対一で戦おうとしてくる事からそう呼ばれている。動きは早いが攻撃力、耐久力共に低いから楽に倒せるだろう」

「なぁ、ちなみに二人で戦おうとした場合はどうなるんだ?」


 俺はふと疑問に思いそう聞いてみた。


「それがな…二人目が攻撃した瞬間に目が真っ赤に輝き出して動きがアホみたいに早くなるんだよ。そして急所ばかりを狙ってくるらしいんだ…」

「そんなに危ないのか?」

「ああ、なぜかあいつらは男性プレイヤーに対して執拗に股間ばかりを狙ってくるんだよ。その時ダメージを受けた奴があれはトラウマものだって言ってたらしいんだよ」

(確かに股間にダメージは受けたくないなぁ…)


 とりあえず一匹目を狩ってみるか。


「じゃあどっちからやる?」

「ああ、スバルから先にイイぜ」


 そう言ってケイトは後ろに下がった。

 デュエルラビットはこちらとは逆の方を向いていたので素早く近寄って首筋に一撃、


(スラッシュ)


 下位アーツを表すほんのりと青いエフェクトを出しながらデュエルラビットを切り裂いた。


 ズバッッ


 クリティカルを表す赤いエフェクトがおき一撃でデュエルラビットは光の塵となって消えていった。


【50L(リラ)、決闘兎の肉を入手しました。今後もこのメッセージを開きますか? YES/NO】


 L(リラ)とは「神々の箱庭」全体の通過だ。感覚的には1L(リラ)=1円である。


 NOをタッチする。


【今後このメッセージは表示されません。設定を変更する際はメニュー画面から設定→戦闘後メッセージ表示から変更してください】


「ふぅ、一撃かあんまり強くないんだな」

「いやいや、普通あんなキレイにクリティカルは入らないからな。まぁ、スバルだししょうがないか」

「そうなんだ。まぁ、いいだろう。次はケイトの番だぞ」

「あいよ。てかその前に敵を見つけないとな」

「いや、大丈夫だ。ここから50メートルほど先に二匹いるから」


 俺はさっきから気配察知に引っかかっているモンスターの場所を教えた。


「気配察知か?それにしてもデュエルラビットが二匹とは珍しいな。まぁいっか、それならそっちに行くか」


 そう言ってケイトは歩き出した。どうやらデュエルラビットが二匹でいるのは珍しいらしい。


 ついた所には15センチぼどの石が二つ落ちていた。


「おいスバル、どう見てもこれはただの石だぞ」

「いやいやこの石からバリバリモンスターの気配を感じるぜ」


 俺はそう言って石を持ち上げてみた。よく観察していると側面にある隙間がほんのりと赤く光っていた。試しに片手剣の切っ先を隙間に突き刺してみた。


 グシュッッ


 っと、音がして隙間に刺さったあとその石は光の塵となって消えた。


「えっ?何が起きたんだ?」


 俺はウインドウを開いてlogを確認してみた。


石亀(ストーンタートル)を倒した。60L、上質な石亀の甲羅を入手した】


 開いたlogにそう書かれていた。


「さっきのストーンタートルって言うモンスターらしいぞ」

「マジでか?なんかアイテム手に手に入ったか?」

「ああ、上質な石亀の甲羅って言うアイテムが手に入ったぞ」


 どうやらそのストーンタートルの情報はまだ出回っていないらしい。そばにもう一体いたストーンタートルをケイトに渡してみた。


「なぁ、スバル。こいつはどうやって倒せばいいんだ?」

「よく観察してみろ、側面に隙間があるだろ?」

「いやいや、そんな隙間なんてないぞ」


 俺はケイトからストーンタートルを受け取ってから側面をみる。そしてまたほんのりと赤く光っている隙間に切っ先を突き刺した。


 グシュッッ


 またストーンタートルは光の塵になって消えていった。

 ウインドウを開いてlogを確認してみると


石亀(ストーンタートル)を倒した。65L、上質な石亀の甲羅を入手した】


 ついでにスキルを確認すると、気配察知がLV.8 見切りがLV.2 に上がっていた。どうやらスキルの効果で隙間が赤く光って見えていたようだ。


「それじゃあ役割分担しようぜ。俺がストーンタートルを倒して、ケイトがデュエルラビットを倒すってのはどうだ?」

「ああ、それで頼むよ」


 それから早速俺たちは次のモンスターの所へ歩き出した。

 そこにはデュエルラビットが一匹とストーンタートルが一匹いた。


「じゃあ、デュエルラビットは頼むぜケイト。」


 そう言って俺は一歩後ろへ下がった。


「おう、任せとけ」


 そう言ってケイトは担いでた両手剣を抜き構えた。

 そしてままだこちらに気付いていないデュエルラビットに向かって両手剣を振り下ろした。


 ズドッッ


 両手剣はキレイにデュエルラビットにヒットした。

 だがまだ倒れない。

 すぐにケイトは両手剣を横薙ぎに振るった。

 だがそれはその場で跳び上がったデュエルラビットにかわされてしまった。

 ケイトは両手剣を横薙ぎに振るった勢いのまま一回転し、着地した瞬間のデュエルラビットを切り裂いた。


 ズバッッ


 そうしてデュエルラビットは光る塵となって消えていった。


「ふう、やっと一匹目か。ドロップアイテムは決闘兎の肉と。スバルはよくこいつを一撃で倒せたなぁ」

「お疲れさん。まあ、クリティカルが出たからな。じゃあ俺はストーンタートルを」


 そう言ってストーンタートルを持ち上げた時に気付いてしまった。


(このままこいつを見つめ続けていたら見切りのスキルレベルが上がんじゃね)


 というわけで俺は少し重かったがストーンタートルを持ったままモンスター捜索を続けた。

 それから2時間ほど狩り続けた。そして現在のステータスはこんなかんじだ。




************


 Level.7

 片手剣 LV.6

 体術 LV.3

 蹴り LV.3

 気配察知 LV.11

 見切り LV.8


************




(うん、なかなかいい感じに上がってきたなぁ)


 ちなみに蹴りは見つけたストーンタートルを蹴りなが歩いてたら上がっていた。体術の方はなぜか上がっていた。

 ウインドウを開いて時間を確認してみると16時50分だった。すでにログインから3時間以上経過している。


「そろそろ町に戻るか。なぁケイトは今日、何時までインしている予定?」

「俺は特に決まってないけど、まぁ5時半までにはログアウトしようと思ってるよ。飯とか風呂があるしなぁ」

「じゃあ今から町に戻ったらちょうどいいくらいだな」

「おう、じゃあ適当に狩りながら戻るか」


 そう言って俺たちは町に20分ほどかけて戻っていった。

 町に着くと町中がプレイヤーで溢れているのは変わらなかったが、明らかに雰囲気がおかしかった。

 所々で罵声や叫び声が聞こえる中、俺は会話に耳をかたむけた。


「おい、何でログアウト出来ねぇんだよ」

「マジで意味わかんねぇよ。ログアウトさせろよ」

「運営はないやってんだよ。GMコールも通じねえしよぉ」


 俺も試しにウインドウを開いてログアウトをタップしてみた。


【ログアウトしますか?※宿屋などの宿泊施設以外でログアウトした場合はアバターのみ、その場に15分間存在し続けます。 YES/NO】


 YESをタップする。


【ERROR、その操作は実行できません】


 と、出たあとにログアウトボタンがウインドウ内から消えてしまった。


「おいおい、冗談じゃねえぞ。ケイトお前はどうだった?」

「ダメだ、ログアウト出来ねぇ」

「そうだ冬花(とうか)ちゃんは?」

「っっ、冬花の奴も箱庭にログインしてるかもしれない‼くそっ、コールトーカ」


 冬花とは啓人の中学三年生の妹だ。


「トーカは今、始まりの広場にいるらしい。ついてきてくれ」

「おう、急ごうぜ」


 そう言って二人走り出そうとした瞬間、地面が輝き出した。その輝きは徐々に強くなっていき目の前が真っ白になった。

親友君の武器は両手剣ですね。

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