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第5話 親友

(それにしても色んな視線を感じるなぁ。ケイト早く来ねえかなぁ)


 しばらく周りの風景を眺めながらケイトをまっていると三人の男が話しかけて来た。


「おいおい、こいつの顔みろよ。めっちゃダサい顔してるぜ」


 そう言って男A、B、Cはゲラゲラと下品に笑った。

 俺は大人気なくも男達に向かって言い返した。


「おい、俺の事を悪く言ってもいいがな、田中の顔を悪く言ってんじゃねえよ」

(何て奴らだ初対面で田中の顔を馬鹿にするなんて、悪口を言うなら本人に直接言えってんだよ)

「はぁ、お前なに言ってんだ。アホじゃねえのか?」

「お前らが田中の顔を馬鹿にしたんじゃねえかよ。ダサイとかモブっぽいとかパッとしないとか好き勝手言いやがって」

「本当にお前なに言ってんだよわけわかんねぇよ、第一その田中って誰だよ」

(む、そこは普通そこまで言ってねえよって突っ込む所じゃないのか?こいつらには全くセンスがないな)


 俺が一人でそんな事を考えつつ男達をジト目で睨んだ。


「おい、てめえなに睨んでやがんだよ。あんまり調子こくなよ」


 俺は男達がそう言っている間も男をジト目で睨みながら、まるで他人事のようにケイト遅えなぁ、なんて考えていた。


 すると横から突然、

「あんた達恥ずかしくないの⁉男三人でこんな気弱そうな顔の子を囲んで」


 その人は金髪で碧眼、そして身長が高くスラっとした体系をしていた。一言で言うと美人だ。


「突然何だよてめぇ。お前には関係ないだろ」

「関係大ありよ。私はねぇイジメとかそういうのが大っ嫌いなの、特にあんた達みたいに多人数で一人に絡んで恥ずかしくないの?」

(む、なかなか真面目な人だなぁ。それともただ単に正義の味方ゴッコをしたいだけか?まぁ、面倒臭いから無視だ、無視)


 そんな事を考えている間も男三人と女の人の言い合いは続いていき。


「ちっ、もういいぜ。せいぜい圏外では気を付けるんだな。おい、お前らも行くぞ」

「ちょっとあんた達この子に謝りなさいよ」


 男達が捨て台詞?を吐いて人ごみに消えていった。


「もう全くゲームでもリアルでもああいうのは嫌になるは、ねぇ君もそう思うでしょ?」

「えっ、何がですか?」


 普通に話を聞いていなかった俺はついそんな返事を返してしまった。


「もう、あの三人組の事よ。自分が絡まれたんだからしっかりしなさいよ」

(可哀想に怯えて話を聞く余裕もなかったのね。そうだ、フレンド登録だけでもしてあげましょう)

「ねぇ、君?私とフレンド登録しない?私の名前はハルカ」


 そう言ってハルカは右手を前に出して来た。


(フレンド登録かぁ、嫌だなぁ。それに握手もちょっとなぁ。でも、しなくても失礼だし)

「僕は田中です」


 そう言って俺は女の人と握手をした。そして手を話すと同時にさっきからどうも俺を探してるっぽいケイトの所に向かって走り出した。


「えっ⁉ちょっとキミー」


 心の中でゴメンとだけ言っといた。








「おーい、ケイトー」


 俺はリアルと殆ど顔が変わらないケイトらしき人に話しかけた。ちなみにケイトは意志が強そうな目をしたイケメンだ。


「えっ、田中?お前も箱庭してたの?」

(そういえば俺は今、田中とそっくりの顔をしてるんだった)

「ちげーよ、顔は田中だけど中身はスバルだよ」

「マジかよ、でも田中がスバルの名前を出すわけないしな。それより何でお前はそんな顔にしたんだよ。まぁ、どうせ目立ちたくないからとかそんな理由なんだろう?」

「流石は我が親友よく分かってるじゃないか」


 俺がドヤ顔で言い放つと、ケイトは疲れたような顔をしてこう言い放った。


「お前さぁ、リアルでその顔だったら確かに目立たないかもしれないけどさ。この世界はみんな顔を美形にして髪や目の色まで変えてるんだぜ?黒髪、黒目でその顔は逆に目立つだろう」








 俺はケイトの勧めで目立たないように外套をかぶって南門へ向かってケイトと歩いていた。


「おい、そんなに落ち込むなって。もう、気にしても仕方ないだろう」

「はぁ、だってよう。目立たないために選んだ顔で逆に目立つってどういう事だよ?」

「諦めろって、どうせお前の事だからゲームを進めて行ったら嫌でも目立つんだからさ」


 俺はため息を尽きながら周りを見わたした。


「それにしても人が多いなぁ、南の草原って人がいっぱいいるんじゃないのか?」

「そりゃなぁ、何たってサービス開始初日だぜ。次の世界までのワープゲートが見つかるまではしばらくこんな感じだろなぁ」

「嫌だなぁ。狩場とか狭いだろし」


 俺は憂鬱になっていく気持ちを少しでも紛らわせるために大きくため息をついた。

 そんな他愛もない会話をしている内に気付いたら南門にたどり着いていた。


「じゃあ早速行くか」


 そう言うケイトに俺はサムズアップをしながらキメ顔で言った。


「一狩り行こうぜ‼」


 するとケイトは微妙そうな顔をして言った。


「…その顔でその台詞はないわぁ」


(お前も田中に誤ってこい‼)


 俺は心の中でそう叫んだ。

短くてすみません(^^;;

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