第4話 女神と加護
光の本流に飲まれていく。
この時すでに俺にはメイトの最後の台詞の意味を考える事を忘れていた。それほどに目の前の光景は綺麗で圧倒的だった。
『こんにちは、ステキな冒険者さん。貴方のお名前は?』
ふいにそんな声が聞こえた。その声が美しいとか、なぜ頭の中に直接声が聞こえるのかとか、そんな事を考える前に俺はすでに別の事を考えていた。そして俺はドヤ顔で言い放った。
「人の名前を聞くならまずは自分から名乗れ」
(ついに俺的言ってみたい台詞BESTが言えた…)
俺が一人で感動していると、また頭の中に声が響いてきた。
『うふふ、元気な子ね。いいわ、私の名前はフォルトゥナ運命の女神や幸運の女神、盲目の女神だなんて呼ばれているわ』
(うん、よくわかんないがとにかく女神というからには偉いんだろう。呼ぶとしたらフォルトゥナ様かな)
「僕の名前はス『スバル君でしょ?知ってるわよ』」
そう言ってフォルトゥナ様はいたずらっぽくふふふと笑った。
(この人…じゃなくて女様神か、この女神様は俺にいったい何の用なんだろうか?)
『それはスバル君に私の祝福をあげようと思ってね』
(っっ、人の考えてる事がわかるのか?)
『私は女神よ。そのくらい朝飯前よ、そんな事より本題に入りましょう』
ここでユニークスキルについて補足説明しておこう。
この世界のユニークスキルには大きく分けて二つの種類がある。ひとつがシンプルユニークスキル。そしてもうひとつが神の名を持つスキルだ。
神の名を持つスキルだは“○○の加護”という感じのスキルになる。その効果は絶大とされシンプルユニークスキルは同じ物を持っている人が何人かいるが、神の名を持つスキルは同じ物を持つ物は一人もいないと言われている。
『スバル君は運がとてもいいのよ。なんせ私から直接祝福が貰えるんですから』
(む、それはつまり神の名を持つスキルと言うわけか?それはとてもありがたいなぁ)
『うふふ、そうでしょ?とりあえず私はスバル君が気に入ったから加護を授けるのよ、スバル君に拒否権はないは』
(これは素直に嬉しい、拒否する理由もない)
「ありがとうございます」
『素直でよろしい。それじゃあ早速あげるわね。我この物に加護を与えん。』
フォルトゥナ様の声が言い終えると同時に全身が暖かい光に包まれた。
【ユニークスキル“フォルトゥナの加護”を取得しました。フォルトゥナの加護:運や確率に関係するステータスや行動、事象に対して最大の補正がかかる】
(これは凄いのか凄くないのかよくわかんないなぁ)
『そんな事はないわ。この加護の凄さはスバル君が身を持って体験する事になるわ。そしてその凄さゆえに私に感謝する事になるわ』
「あ、ありがとうございます」
『…………』
「あのぉ、フォルトゥナ様どうなさいました?」
フォルトゥナ様は少し考えるように黙ったあにこういい放った。
『貴方が額にしている物…いいわねぇ』
「ヘアバンドの事ですか?」
『ええ、そのヘアバンドとか言うやつの事よ。盲目の女神としての加護も与えたくなったわねぇ』
?どうしてそんな事を言い出したのかわからず俺が黙りこんでいると、続けてフォルトゥナ様がいった。
『そのヘアバンドと言うやつで目を隠している間だけ追加能力をあげるわ。効果は…』
【盲目の女神の加護:布のような物で目を隠している間のみ全てのステータスや行動、事象に対して大きな補正がかかる】
(この能力はやばそうだなぁ。せっかくだしありがたく貰っておこう)
「ありがとうございますフォルトゥナ様」
『いいのよ、私がしたかったからしただけだから、それじゃあそろそろお別れみたい…頑張ってね』
「はい、本当にありがとうございました」
『ふふ、それじゃあまた会えたら会いましょう。じゃあね』
そう言ったっきりフォルトゥナ様のこれは聞こえなくなった。
俺がこの時貰った加護の恐ろしさを知るのはあとほんの少し先の事になる。
ひときわ大きく光ったかと思うと目の前には中世の街並みが広がっていた。どうやら俺は今、広場のような所に立っているらしい。
頬を撫でる風の感覚、踏みしめる石畳の感覚、ざわめく人の雑踏、漂ってくる色んな匂い。そのひとつ、ひとつがとても新鮮かつリアルだった。
(これが仮想空間だなんて信じられないなぁ、とりあえずメニューウインドウを開いてみるか)
メイトに教わった通りに左手の指を上から下にふる。アイテムボックスを開いてみると初級ポーション×5と初級MP回復ポーション×5、初級スタミナ回復ポーション×5が入っていた。
そこでふとメールが2通来ている事に気づく。
【運営:ログインありがとうございます。贈り物としてポーション詰め合わせをプレゼントいたします。これから存分に「神々の箱庭」をお楽しみください】
ひとつは運営からだった。もうひとつは
【ケイト:メールみたらコールよろしく】
これはゲームを始める前からあらかじめフレンド登録をしておいた親友の啓人からだった。
(では、早速コールケイト)
『もしもし、スバルか?』
『あぁ、そうだよ今、噴水がある広場にいるよ』
『始まりの広場だな、了解すぐいくからそこにまっててくれ』
そう言ってコールが切れた。
あと少ししたらケイトがくるはずだ。
次回は親友君が出てきます。