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第2話 ログインと初期設定

「リンクスタート‼」


 唱え終わると同時に視界が暗転し、次の瞬間には真っ白な部屋に立っていた。


(聞いてたとおりだ、確かここでゲームを選ぶんだったな)


 目の前に幾つかの球体が浮かんでいた。

 その中のひとつから「神々の箱庭」を見つけて球体の表面にタッチする。


【ダイブしますか? YES/NO】


 もちろんYESをタッチ、その瞬間一瞬の浮遊感のあと球体に吸い込まれた。








 気が付くとそこは一面緑の草原だった。どこまでも続く地平線、上を見上げると白い雲と真っ青な空、そして…ドラゴン。


(うん、普通にドラゴン飛んでるよ。超ファンタジーじゃん、まだ何もしてないのにテンション上がってきた)


 ドラゴンを見てしまったせいであまりインパクトがないが、草原には所々に色々な動物がいた。

 例えば、青いダチョウ?みたいなやつにトリケラトプスみたいなに角が3本あるサイ、毛が真っ赤なライオンなどなど本当に色んな動物がいた。


 けれどどれも総じてこちらに近寄ってこないどころか見向きもしない。試しにこちらから近づこうとしても透明な壁があり前に進めない。

 試しに叫んでみるか…


「ヤッッホーーーーー‼」


 ………こっちに見向きもしないなんて…なんか泣きたくなってきた。


 ふと周りに何かの気配を感じた、そして後ろを向くと女の人がいた。


「………… 」

「………… 」


(なんか人形みたいな人だ、NPCかなぁ)


 その女性のみた目は髪が銀色で碧眼、透き通るような白い肌をしているそして耳にゴツイヘッドホンのような物をつけていた。

 服装は白を基調にした巫女装束のような物を着ている。


(とりあえず話しかけてみるか)


「あのぉ、貴方は?」

「私はキャラクターメイキングサポートNPCのメイトです、以後はメイトとお呼びください」


 ととても綺麗な鈴のような声で答えた。でも全く抑揚がなく感情というものを感じ取れないそんな声で。

 そしてメイトはこちらをジッと見つめたまま動かない。見つめ合うこと数秒、目を合わせたままだとそのままその青い瞳に吸い込まれそうな気がして怖くなりつい目をそらした。


 メイトはこちらを見つめたまま


「キャラクターメイキングを開始してもよろしいですか?」


と聞いてきた。

 その時のメイトの顔はどこか勝ち誇ったような顔をしていて少しカチンときた。


(だけど俺は大人だこんな所で怒らない)


「お、おねがいします…」


きょどってしまった。

 メイトは少し口元をにやけさせながら


「では、キャラクターメイキングを始めます」


とその綺麗で抑揚のない声で言った。








「まずは体格の調整を行います、希望などがありましたらおっしゃってください」


(こういうものは下手にいじると動作に支障が出るというしな)


「体格はリアルのままで、身長は174センチでお願いします」

「了解しました。体格は個人識別設定を行ったさいの体格でよろしいですね?」


 そして「はい」と答えた瞬間目の前にもう一人の自分が現れた。それはまるで鏡でも見ているような不思議な感じがした。


「肉体の形成を確認。体格はこれでよろしいですか?」


 体の周りを回ってしっかりと確認したが特におかしい所はなかった。


(目の前にもう一人、自分がいるなんてなんか違和感というか気持ち悪いな)


「いいですよ」


「了解しました。次は顔の調整を行います。自分でいじることもできますが希望によってはこちらで調整を行います。そのさいは希望の顔のイメージを言ってください」


 俺はもうどんな顔にするかは決めていた、だからきっぱりと言った。


「モブキャラっぽい顔でお願いします」

「…………」

「メイト?」

「…………」

「お〜〜い、メイトさ〜ん」

「…………」


 メイトはまるでアホを見るかのような目でこちらを見て固まっていた。


(俺、なんかまずいこと言ったかなぁ?しょうがない)


 俺はメイトの目の前で柏手をうった。


「っっ、すいません。目の前で言われたアホな台詞を聞き間違いかと思い、つい固まってしまいました」

「アホな台詞て、俺何も変な事は言ってないぞ?」

「すいません。再度問います、希望の顔のイメージを言ってください」


 そして俺はもう一度きっぱりと答えた。


「モブキャラっぽい顔でお願いします」

「………、すいません理由をお聞きしてもよろしいでしょうか。どうも貴方の意図がわかりませんので。お世辞ではなく、貴方様の顔はとても整っております。普通、人というものはより整った顔を目指すものではないのでしょうか?仮想現実の中だけでも美系にと…」


(む、本当に凄いなぁ。NPCってのは本当に単純な事しかしないと思ってたのに。NPCが売りってのもわかる気がするな)


 俺は困惑した雰囲気のメイトに答えた。


「この顔、嫌でも目立つだろ?俺は静かに楽しくゲームをプレイしたいんだ」


 そう俺の顔は整っている、自分でも引くくらい整っている。そのせいでリアルでは変に目立って嫌な思いもたくさんしてきた。俺の顔は人から言わせれば王子様という感じの顔をしているらしい。


 メイトはあまり納得してなさそうな顔で


「…了解しました。顔の形成を始めます」


 そして顔が光ったかと思うと、そこにはモブ顏があった。本当に一般的で何処にでもいそうな日本人の顔だ。どことなくクラスメイトの田中に似てない事もない気がする。


「うん、イメージ通りのモブ顏だよ。ありがとうメイト」

「…了解しました。では次は髪の色と目の色の設定を行います。目の前の画面の中からひとつ好きな色を選んでください。なお何色と何色を混ぜたような色というふうに選ぶ事もできます」


 これももちろん決まっている。


「両方黒でお願いします」

「もう貴方には何も言いません……。了解しました」


 メイトが前半何を言ったかよく聞こえなかったがまあいいだろう。メイトが言い終わると同時にまた顔が光ったそして中からはいかにも日本人という感じのモブ男もとい田中が出てきた。








「次はプレイヤー設定に移ります。プレイヤー設定ではプレイヤーネーム、初期スキル、初期ステータスを設定してもらいます。それぞれ一度設定してしまうと変更はできませんので慎重にお決めになってください。まずは目の前にウインドウが出る事を想像しながら、左手の指を上から下に振ってください」


 メイトの指示通りに左手の人差し指を縦に振ってみると目の前にウインドウがとびだしてきた。そこにはパソコンのキーボードのようなものがあった。


【キャラクターネームを入力してください】

(早速入力と、s.u.b.a.r.uと)

【subaruでよろしいですか? YES/NO】


 YESをタップする。


【次は初期スキルを選択します。下の欄から好きなスキルを5つ選んでください。】

(これももう決めている。片手剣、蹴り、体術、気配察知、見切りと)

【片手剣:片手剣用のスキル、剣を使うさいに補正がかかる 蹴り:蹴りによる攻撃を可能とするスキル、足の動きに補正がかかる 体術:スタミナ効率UP小、体を動かす動作に補正がかかる 気配察知:自分の周りの動きに敏感になる、索敵が使える 見切り:クリティカル攻撃が入った際に攻撃力UP小、相手の弱点の位置が見える事がある(武器や防具、道具なども可)、動体視力UP小 以上の5つでよろしいですか?※一度選択すると変更することはできません YES/NO】


 YESをタップする。


【次にステータスの割り振りを始めます。初期ポイントは500PTあります。それぞれSTR/VIT/DEX/AGI/INTに割り振ってください】

(こんな感じでいいかなっと)

【STR 90 / VIT 90 / DEX 90 / AGI 140 / INT 90 でよろしいですか?※一度選択すると変更することはできません YES/NO】


 YESをタップする。


【お疲れさまでした。初期設定を確認します。プレイヤーネーム:subaru 初期スキル:片手剣、蹴り、体術、気配察知、見切り 初期ステータス:STR 90 / VIT 90 / DEX 90 / AGI 140 / INT 90 になります。間違いはありませんか? YES/NO】


 YESをタップする。するとウインドウとキーボードは消えた。それと同時に今まで黙ってたメイトがやっと終わったのかって感じの顔をして話しかけてきた。


「お疲れさまでした。少し休憩なさいますか?それともすぐにチュートリアルを始めますか?」


 今は身体を早く動かしたくてウズウズしている。


「もちろん、すぐにチュートリアルを始めてください」

「了解しました。ただいまよりチュートリアルを開始します」

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