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立ち向かう勇気1

こちらは本編の続きになります。

「誕生編」で少し話にふれた、“先にデビューした後輩”が出てきます。

某テレビ局の廊下で次の歌番組の収録をするスタジオに向かって聖と久美は歩いていた。

 

国民的歌番組に出演するのは久しぶりで、この番組には有名どころも多数出演する。彼ら“PRISON MANSON”はまだまだ新人に近いポジションで少々居心地の悪さはあるものの、こうやって大物に混ざれることを喜んでいた。

大物ミュージシャンとトークが出来るかもしれないチャンスだったが、葉瑠は体調不良のためやむを得ず曲収録ギリギリまで楽屋待機となっている為に今は2人だけ収録に向かっているところなのだ。

 

「やっぱりダメだったな。葉瑠、あんなに楽しみにしてたのに…」

 

「「よっしゃ〜!今回緒方さんも出る」ってすごいはしゃいでたもんな…」

 

“緒方さん”とは男性シンガーソングライターで、ギターを片手に歌うスタイルから葉瑠の憧れであった。

 

「あいつ、緒方さんとは共演したことあるのにまともに会話したことないんだってさ。俺も何回か話せるようにしてやっても「わしには眩しくて話せん」なんて言って自分よりちっさい俺の背中に隠れんの」

 

「ははっ、恋する乙女葉瑠ちゃんだな」

 

そんなほのぼのとした会話をしていると、

 

――ドン!

 

角を曲がってきた人にぶつかってしまった。

 

「あっ、すみません」

 

「……イエ、こちらこそ」

 

「あっ、聖さんに久美さんじゃないですか!おはようございます」

 

ぶつかった相手は事務所の後輩の4人グループだった。

後輩グループといっても事務所に入ったのが聖達のあとであっただけで、実際デビューは彼らの方が早かった。正直聖達は自分達の方が後輩ではないかと思っているが、彼らは年下であることや事務所から言われてることもあり“一応”聖達を先輩としてみている。

 

「おはようございます、こっちの不注意ですみません…」

 

メイクも終わっていたので、聖は慌てて相手の衣装をみる。自分のファンデーションがついてないのを確認すると、安心のため息をつく。

どちらが先輩かはっきりしない立場なので、聖は敬語を使うようにしていた。

 

「いえ、気にしないでください。今日はご一緒出来るみたいで、俺達も楽しみにしてたんです」

 

グループのリーダー格である智尋が襟元を正しながら言う。

 

「僕達こそ。同じ事務所の人がいると心強いです」

 

「あれ?今日は葉瑠さんはいないんですか?」

 

「あぁ、葉瑠は今日体調不良で曲の収録ギリギリまで待機なんです」

 

聖はにっこり笑いながらいうが、智尋や他のメンバーは見下すようにクスクスと笑っている。下を向いた聖とは反対に、たまたま彼らの表情を見てしまった久美は少しだけ眉を寄せた。

そんな久美の反応に気付かない彼らは、

 

「それでは…」

 

という挨拶と、本当に小さな声で

 

「チッ、ファンデーション付いてたらどうすんだよ」

 

「一応俺達の方が世間的には“先輩”なのにな」

 

「あいつ、体調不良だって。ジコカンリがなってないんじゃねぇ?」

 

と暴言を吐いていく。彼らは聞こえないように言ったつもりだったのだろうが、偶然にも久美には聞こえてしまった。

 

「前を見なきゃいかんかったな…」

 

そう言われてるとは気付かず、智尋の心配をする聖。久美は聖の肩をぽんぽんと叩いてやる。

 

「くみちゃん?どうかした?」

 

「なんでもない。今日は頑張ろうや」

 

久美は彼らの態度が少し不愉快に感じられたがここで揉める訳にもいかないため、今あったことは胸の内にしまっておくことにした。


まだ話は途中ですので、早めに更新できればと思います。

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