◇志水通信◇
こちらはコメディータッチの強い(つもりの)短編になります。今回はオーディション後の彼らをマネージャー視点でお送りします。
(追記)
20日22:30
頃内容を一部修正しました。
窓から見る空はあんなに晴れているのに、広くはない部屋に男4人でカンヅメています。
僕は志水といいまして、今“PRISON MANSON”というバンドのマネージャーをしています。
タレントたるもの晴れた日は外でプロモーションの撮影やらするもので部屋に閉じ籠ることもないはずですが、僕の担当する彼らは事情がありましてかれこれ1ヶ月程この状態です。
「あ゛〜っ書けん!詞が書けーーーーんっ」
そんな雄叫びと共に机に突っ伏したのはヴォーカルの藤村聖さんです。
歌詞が書けない苛立ちから掻きむしってぐちゃぐちゃになってしまいましたが、明るい茶色で流行りの髪型の好青年。といえば聖さんの見てくれは表現できるでしょう。男の人ですがぱっちりとした目が特徴的です。
本人はご自分の容姿を“中のそこそこ”といってますが、僕はその辺の方々より断然いい分類にはいるかと思います。
「ふじっこぉ〜」
一生懸命詞を書こうとしている聖さんにちょっかいをかけようとしてるのが、ギターの松谷葉瑠さんです。葉瑠さんも詞を書いていましたが、作業は終わったようです。しかし…
「…」
「なぁなぁ、ふじっこ〜」
「……」
「…ふじっこ、愛してる。だからこっち向いて?」
「…死ね」
ご自分が暇なのをいいことに、真面目に仕事してる聖さんの邪魔ばかりします。邪魔して怒られて落ち込むのは葉瑠さんなのに、(失礼ですが)学習能力がないようでこの1ヶ月この様な光景を何度か見ています。
「けん〜、ふじっこがわしをいじめる〜」
葉瑠さんは生粋の都民なのにご自分を“わし”と呼びます。黙っていれば老若男女誰が見てもかっこいいという程の男前だというのに、口を開くとみなさんががっかりするほどのおバカっぷりを発揮します。
ちなみに“けん”というのは僕の事です。本名は“けん”ではなく“恵輔”なのですが、どこから“けん”が出てきたのかさっぱりわかりません。葉瑠さんは人のあだ名を考えることが好きみたいで、“ふじっこ”や“けん”も彼がつけました。
「葉瑠さん、聖さんの邪魔ばかりしてはダメですよ。聖さんには聖さんの仕事をきっちりしてもらわなきゃいけませんから」
「えー、じゃあわしはどうしたらいいの?」
「じゃあ、いつかやるライヴに向けて踊りの練習しとけ」
この声はベース担当の槙野久美さんですね。彼は強者ですよ。
「わしが踊ればジョニーさんもびっくりするか?」
「おー、お前ならスカウトされるかもね」
「…くみちゃん、わし頑張る。ワイヤーに吊られたって踊ってみせる」
ちょっと葉瑠さん、あなたはジョニーさんにスカウトされちゃダメですって。
ちなみにジョニーさんとは生粋の日本人でジョニーはあだ名。アイドル専門のスカウトさんで、ジョニーさんにスカウトされたら某アイドル事務所のMでのデビューが約束されてるとか。
話が少しそれましたが、久美さん(葉瑠さんがつけて下さったのでくみさんとよんでます)は黙っているところを見ると怖そうなお兄さんに見えます。
でもそれはちょっと無愛想でただ単に喋るのも面倒くさくて黙っているだけで、実際は怖い方ではありません。
飄々としていて気分屋で暇している葉瑠さんをこうやってからかったあげく中途半端なところでほったらかし、ご自分は何喰わぬ顔でベースを弾きます。ある意味このバンドの中では問題児ですね。
彼らは1ヶ月前のオーディションに個人的に受けにきていましたが、プロデューサーの案で三人がバンドを組むことになりました。僕もこの三人ならすごいことをやってくれそうな気がしますが、若干スタートが遅いのが心配です。
最初の音合わせとかを、一週間近くやっててようやく曲作りに入りはじめたばかり。プロデューサーは早くデビューさせつつもりだったようですが曲がなければ詞もまだ出来てないのがあり、この調子だとデビューはまだまた先のようです。
「…ジャン♪どう?くみちゃんこんなダンスは」
「…お前の歌ではダメだな。あぁ、ジョニーさんも遠ざかった…」
「…わしの歌とジョニーさんは関係ないじゃん」
「……お前らうるさい」
そんな三人を僕は影となりあるときは盾となり見守り続けようと思います。
しかしこの調子はいつまで続くのでしょうか?僕も早くお日様の光を浴びたいです…。
ぬるいというか、コメディーっぽくないですね(汗)
読んでいただき、ありがとうございます!
“TVスター屋さん”はシリアス中心の本編とコメディー中心の番外編を織り混ぜて連載しようと思います。予定ではたくさん濃〜い登場人物出てきますので、そちらも楽しみにしていただければと思います♪