確執
「鶴崎春希、復帰後初重賞騎乗で勝利。ミラクルボーイが帰ってきました。」
鶴崎は早めに復帰できた。痛みはあるが、全然騎乗はできていた。
「クラウドクイーン一着!離れた2着にはステラマター。」
秋華賞ではクラウドクイーンに5馬身差をつけられ大敗した。最後方から競馬をしたが、クラウドクイーンはスローペースの逃げ。差し脚が間に合うはずもなく2着だった。
「何でまた、マーチャンなんすか。あのドスローで逃げたのに何もせずじっとして最後には差しきれない。そんなレースをしたのにマーチャン続投なんて、余りにも意味がわからない。こっちは急いで帰って来て、毎日王冠勝って結果を残してるんすよ。意味がわからない。」
ネットでマーチャン続投の記事が出てすぐ、憤慨した鶴崎は厩舎に向かい川口に大声で異議を唱えた。
「クラブの意向だ。お前で結果を出したが、クラブはお前の騎乗ではなくマーチャンの継続騎乗を求めている。それだけだ。」
川口も、鶴崎の勢いにびっくりしつつ説明したが…
「だとしても、あの騎乗をされて負けて継続の意味がわからない。俺だったら絶対に勝ってる。まず、スイートピーの時の約束はどうなってるんですか。何で川口先生は僕を守ってはくれなかったんですか。」
鶴崎の勢いはより増した。
「推薦したさ。こっちだってG1を勝ってくれた、君には感謝している。だけどね、こっちだって商売だ。少しでも成績を上げるのと同じ位にクラブや馬主との関わりが大切になるんだよ。」
川口も自分の立場と責任があった。クラブや馬主そして騎手の考えに板挟みなった、川口自身も辛かった。
「もういいです。川口先生があの馬に乗せてくれないなら。二度とこの厩舎の馬には乗りません。」
そんな捨て台詞を吐いて鶴崎は厩舎を後にした。川口は、ため息をつき怒りをあらわにした。
この噂は、一瞬でトレセン中に広がった。
鶴崎は、サウスポートクラブの馬がいる厩舎の馬には乗らなくなった。厩舎自体が依頼をすることが減っていた。なんせ、厩舎から見たら乗り替わり一つで大クレームを入れるモンスター中堅関わりたくないのが事実だ。その年鶴崎は、ドンドンと成績を尻すぼみさせ年間54勝とした、リーディングでは真ん中ぐらいであったが、来年度同じ位に勝てる保証は全くといいなくなった。




