男と男の戦い
11r直前
「さぁ、全馬返し馬を終えてゲート前まで着きました。やはり注目はこの2頭、前走桜花賞を大外一気で差し切ったクラウドクイーン、そして前走異次元の逃げそして上がり34.5で見事逃げ切りステラマター。川村尊、鶴崎春希同期のライバル同士で人気を分け合いました。現在クラウドクイーンが2.5倍、ステラマターが3.0倍という人気、少しクラウドクイーンのほうが人気をしていますがどうでしょうか板崎さん。」
実況アナウンサーは、レースの総括を解説に聞いた。
「いやぁね、やっぱりクラウドクイーンは桜花賞でいいレースをしましたし何よりG1戦線で戦ってきたメンバーと戦っていますから、当然の人気ですね。ステラマターは、戦ってきたメンバーはそこまでですが前走が怪物ぶりを見せるレースでした。これは分からなくなりましたね。」
珍しく板崎がまともな総括をした、だが彼の本命は10番人気のナイソーグラムだ。予想家としてのプライドを、覗かせたような買い目をしている。
ゲート前
「落ち着け、大丈夫だ。勝ってこいつら沸かせようよ、お嬢」
そういうと理解したようにステラマターは落ち着き始めた。オークスはスタートが観客の前でこれに弱い馬も一定数いる。騎手もこの独特な雰囲気に飲み込まれないように必死だ。
「全馬問題なくゲートの中、咲かせよう樫の花。オークス今スタート。クラウドクイーンまずまずのスタート。ステラマターはちょっと出遅れたか。現在先頭は、ハナノコトバ。その外にタマノダニエル、ミチューリンと続きます。そしてその後ろ桜花賞馬クラウドクイーン今回は好位からの競馬を画策か川村。キングロックはちょっと掛かっている。そして怪しくもここにステラマター。前走驚異の逃げ切りから今回はピッタリとクラウドクイーンをマークしています。」
最初1000mは、59秒。それなりのペースでレースが進んでいた。
「大欅をさぁドンドン行った、マコトパドック後ろからまくりにかかる、最後までこの足が持つのか。最終コーナー曲がって残り400m、依然先頭はハナノコトバ。だが後ろから3頭突っ込んできたぞ、クラウドクイーンとキングロックそしてその外ステラマターだ。突き放す3頭ここでクラウドクイーン伸びる伸びるぐんぐん差をはなしにかかる。キングロックは伸びが苦しい。そして外の方からステラマターが猛追。さぁ真っ向勝負。残り200m2頭がぐんぐん離していく。3番手にはキングロック、その内をナスノチヨバラなども追ってくるが。先頭は、クラウドクイーン。外からステラマター。クラウド逃げる、ステラ猛追。これは大接戦、残り100mもないぞ。クラウドクイーン逃げるが並んだ並んだステラマター。クラウドもう一度内から来るが、ステラマター、ステラマター、ステラマターが一着でゴールイン。ステラマター一着。2着はクラウドクイーン。3着ナスノチヨバラか。ステラマター今回は完全マークからのクラウドクイーンを半馬身差突き放して一着。」
鶴崎は、ステラマターでクラウドクイーンを差し切り勝利した瞬間人差し指を立て、スタンドに指を差した。この大舞台でのライバルへの勝利は、過去のどの勝利よりも嬉しく叫んだ。ゴール板を過ぎて後ろからクラウドクイーンと川村が来た。
「おめでとう。つぇえわその馬。完敗だった。」
そう言って握手を求めてきた。
競馬学校時代からのライバルを負かした初めての勝負。力強く握手をした。
「早くウイニングラン行ってこい。待ってるぞみんな」
そう言われ2コーナーからウイニングランに向かった。クラウドクイーンで勝ったときとはまた違った雰囲気だった。右手を高く突き上げた時、スタンドから地響きのような声が聞こえた。その瞬間抑えていた涙が止まらなかった。うれしくて、うれしくて、うれしくて心から今までの人生に感謝した瞬間だった。




