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『日本改造計画』

『日本改造計画外電』その弐拾弐 帯刀義務化

作者: 桃太郎

 今日のリモート会議は、参加者からして異質だ。

 一般社団法人日本パブリックアフェアーズ協会会長だ。

「本日は、お時間頂戴いただき誠に有難うございます。」

「こちらこそ、カメラオフのリモート対談で引きけて下さった事、

 感謝の極み。本日は、宜しくお願い致します。」

「では、早速本題に入ります。一次資料に目通しして頂いた事、感謝申し上げます。では、本件のおさらいから始めます。」

「どうぞ、続けて下さい。会長。」

「はい。銃刀法の改正案『帯刀義務化法案』は、経済活性化の起爆点になります。経済波及効果は、試算で5千億円を凌駕するでしょう。内容は四つです。

 一つ、帯刀を義務化することで『刀』が売れます

 一つ、内外に『日本は侍の国』だと喧伝できます

 一つ、特に外国人に対する自衛力が向上します

 一つ、刀匠に国費を投じる大義名分ができる為、日本刀と言う文化保全に繋がる

 如何でしょうか。総統閣下。」

「分かります。どれも日本には、必要だと考えています。が……」

「『が……』? 何でしょう。総統閣下。」

「欠点が無い訳ではありません。特に国民負担が爆増します。」

「はい。存じております。『本物』の日本刀製作には、一振り数百万円。

 『義務化』すると、国民一人一人全員が、数百万円の負担義務が生じる。

 ですから、等級化、分類をしっかり制度化すべきでしょう。」

「具体的にお願いしますよ。会長。」

「はい。等級化、分類は、この様に考えております。

 特級:五百万円未満、『本物』である事。

 甲級:百万円未満、『偽物』でも可。人間を殺傷可能である事。

 乙級:五十万円未満、『偽物』でも可。甲級より切れ味を落す事。

 丙級:十万円未満、『偽物』でも可。刃引き済み。斬れない。

 丁級:一万円未満、『偽物』でも可。刃引き済み。斬れない。一度使うと折れる。

 また、義務化するのは、丁級まで。

 それ以上は、技量や法知識などの検定試験を必要とする。

 如何でしょうか。総統閣下。」

「私から付け加えるとすれば、二つありますね。日本人のみの権利化する事。義務化は、制作準備ができるまで待つ事。こんな所ですね。」

「分かりました。総統閣下。」

「本日は、以上になります。会長。」

「はい。本日は、誠にありがとうございました。総統閣下。」


 * * * 


 今日もリモート会議だ。参加者は、陛下と宮内庁長官、日本帝国総理である。

「本日は、ご参加ありがとうございます。」

 宮内庁長官のご挨拶から始まった。

「私から、質問があります。お願いしますよ。総統。」

「はっ。何なりとお申し付けくださいませ。陛下。」

「報告は、受けています。日本人に帯刀を義務化する件です。

 あなたの存念を聞かせて下さい。」

「はっ。私の意見は、『帯刀義務化推進派』です。理由もございます。」

「是非とも聞かせて下さい。」

「理由は大きく分けて二つ。詳細は、五つあります。

 まず、経済活性化の起爆剤である事。

 次に、日本の文化への尊崇と保全確保。

 詳細には、こうなります。

 一つ、帯刀を義務化することで『刀』が売れます

 一つ、内外に『日本は侍の国』だと喧伝できます

 一つ、特に外国人に対する自衛力が向上します

 一つ、刀匠に国費を投じる大義名分ができる為、日本刀と言う文化保全に繋がる

 最後に、帯刀した日本人を『美しい』と考えております。

 以上になります。陛下。」

「私も『帯刀』しなければなりませんか。」

「是非ともお願い申し上げます。陛下。」

「分かりました。『帯刀義務化』を進めなさい。総統。」

「はっ……はははぁーーっ。」

 本日のリモート会議は、終わった。


<END>

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