【22-3】ボロボロの宿屋と、綺麗な部屋
マリーに紹介された宿屋は、裏路地の、さらに奥まった場所にひっそりと佇んでいた。今にも崩れそうな、ボロボロの建物だ。
「…嵌められたな」
カゲロウが吐き捨て、メルも「あの女狐…!」と悔しそうに唇を噛む。
しかし、護は「まあ、入ってみようぜ!」と、気にせず扉を開けた。 護が「マリーさんの紹介で来た!」と告げると、中から出てきた無愛想な老人の店主は、護の全身をじろじろと観察した後、「…マリーの嬢ちゃんのか。まあ、ええじゃろ」と、一室だけを貸してくれる。
部屋に入ると、外観とは裏腹に、驚くほど清潔で、居心地の良い部屋だったことに、三人は驚いた。
三人は、今後の行動について会議を始めた。
「まずは、セラフィーナさんから預かった紹介状を使い、ギルド本部の渉外審議長アルドレッド氏に会うべきだ。彼なら、闇市場について何か知っているかもしれない」
メルの提案に、カゲロウが補足する。
「その前に、総帥が護に会いたいと、
マリーナのダリウスが言っていた。そちらが先かもしれん」
メルは、ギルドのトップが、この脳筋に会いたがっているという事実に、改めて驚愕した。
「うーん…よく分かんねえけど、とりあえず、明日その本部ってとこに行って、
会えそうな奴から会ってみればいいんじゃねえか?」
護の鶴の一声で、明日の方針が決まった、その時だった。メルは、部屋の重大な欠陥に気づく。
「…おい、待て。この部屋、ベッドが二つしかないぞ…?」
シングルサイズのベッドには、すでにカゲロウが、いつの間にか荷物を置き、『無言の所有権』を主張している。残るは、ダブルサイズのベッドが一つだけ。
「あれ、本当だ。まあ、いっか。メル、一緒に寝るか!」
護の、何の悪気もない爆弾発言。
「なっ…!ば、馬鹿を言うな!誰が君のような脳筋と!同じ部屋というだけでも我慢ならないのに、
同じベッドなど、天地がひっくり返ってもありえない!」
ドギマギしながら激しく抗議するメルに、護は不思議そうな顔をする。
「だって仕方ねぇじゃん。床で寝たら、風邪ひくだろ。てか、何をそんなに焦ってんだ?」
「焦ってない!!」
結局、カゲロウが床で寝るわけにもいかず、メルは護と同じベッドで眠る羽目になった。
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