【21-4】小さな見送り客と、新たな旅立ち
翌朝。王都アウロラの西門。 リベルタリア自由都市同盟方面へと向かう、大型の乗り合い馬車の発着場は、朝早くから多くの旅人や商人でごった返していた。 馬のいななき、車輪の軋む音、人々の喧騒。活気に満ちた朝の空気の中、護たちは荷物を積み込み、出発の時を待っていた。
「忘れ物はないな? 食料、水、そして紹介状。……護、お前が一番心配だ。トイレは済ませたか?」
メルが母親のように荷物と護の体調を確認する。
「ああ、バッチリだ! バルドの親父に貰った干し肉もまだあるしな! 準備万端だぜ!」
護が大きなリュックを背負い直した、その時だった。
「護お兄ちゃーーーん!!」
人混みをかき分けて、元気な声が聞こえてきた。 護が振り返ると、そこには『ひまわりの家』の子供たち――アンナ、レオ、ミミが、息を切らして走ってくる姿があった。その後ろには、院長のマーサも、杖をつきながら笑顔で歩いてくる。
「お前ら! 見送りに来てくれたのか!」
護が駆け寄ると、子供たちは一斉に護の足にしがみついた。
「お兄ちゃん、行っちゃうの?」
「やだよー!」
「もっと遊んでよー!」
「こらこら、困らせるんじゃないよ。護さんたちは、大事なお仕事に行くんだからね」
マーサが優しく子供たちを諭す。 子供たちは名残惜しそうにしながらも、それぞれ手に持っていたものを護に差し出した。 アンナは手作りの花輪。レオは不器用ながら一生懸命彫った木彫りの剣。ミミは、きれいな石ころ。
「これ、あげる! お兄ちゃんが、怪我しないように!」
「僕たちのこと、忘れないでね!」
「……おう、ありがとな! 大事にするぜ! 一生の宝物だ!」
護は目頭を熱くしながら、子供たちのプレゼントを受け取った。その大きな手で、一人一人の頭をくしゃくしゃに撫でる。 メルとカゲロウも、その光景を微笑ましく見守っていた。
「護殿」
ふと、マーサたちの後ろから声がかかった。 騎士の礼装に身を包んだセラフィーナが立っていた。彼女は公務の合間を縫って、駆けつけてくれたのだ。
「セラフィーナちゃん!」
「間に合ってよかった。……皆様、どうかお気をつけて。皆様の旅路に、光あれ」
彼女は右手を胸に当て、騎士の最敬礼を送る。 護は、ニカっと笑って親指を立てた。
「おう! 行ってくるぜ! またな!」
御者の合図で、馬車が動き出す。 子供たちが手を振り、叫ぶ声が遠ざかっていく。セラフィーナの凛とした姿が小さくなっていく。 王都アウロラの高い城壁を背に、馬車は街道をひた走る。
窓の外に広がるのは、どこまでも続く青い空と、緑の大地。 そしてその先には、海賊たちが跋扈し、欲望と自由が渦巻く海が待っている。
「さて、次はどんな奴らが待ってるかな!」
「やれやれ、退屈はしなさそうだな」
「……胃薬の準備だけはしておこう」
三人の冒険は、まだ始まったばかりだ。 『最強!スーパーガーディアンズ』の馬車は、土煙を上げて、新たな舞台へと突き進んでいった。
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