【19-3】夜明けの誓い
地下実験室での戦いが終わり、護たちは地上へと戻ってきた。 王城の裏庭に出ると、東の空が白み始めていた。長く、苦しい夜が終わり、新しい朝が来ようとしていた。
朝焼けの光が、ボロボロになった四人を照らす。 セラフィーナは、アーサーの形見である折れた剣を胸に抱き、一度だけギュッと目を瞑った。そして、顔を上げた時、その瞳からは涙が消えていた。赤く腫らした目だが、そこには迷いのない、凛とした騎士の光が宿っていた。
「……行きましょう」
彼女はそう言うと、護たちに向き直った。 そして、騎士として、一人の人間として、深く頭を下げた。
「磐座 護殿、カゲロウ殿、メル殿。この度の件、改めて感謝いたします。あなた方がいなければ、わたくしは……一生、後悔の中にいたでしょう」
「顔を上げてくれよ、セラフィーナちゃん。俺たちは、当たり前のことをしただけだ」
護が照れくさそうに鼻をこする。 セラフィーナは顔を上げ、真剣な眼差しで三を見つめた。
「……お願いがあります」
彼女の声は震えていたが、力強かった。
「わたくしは、この王都に残ります。アーサー先輩の遺志を継ぎ、国を内側から蝕む悪を一掃するために。……ですから、あなた方には同行できません」
それは、別れの言葉だった。しかし、続きがあった。
「ですが……もし、あなた方が許してくださるのなら。私たち白百合騎士隊を、あなた方の『仲間』として認めてはいただけないでしょうか」
彼女は、右手を差し出した。
「離れていても、志は共にあります。いつかまた、道が交わるその時まで……背中を預けられる友として」
それは、もはや「非公式な協力者」としての契約ではなかった。 共に巨悪と戦う、対等な同志としての誓いだった。
護は、ニカっと笑い、その大きな手でセラフィーナの手をガシッと握りしめた。
「そんな、水臭いこと言うなよ! 俺たちは、もうとっくに仲間だろ!」
「……っ!」
セラフィーナの瞳が潤む。 メルもやれやれといった顔で、しかし口元を緩めて歩み寄り、小さな手を重ねた。
「ボクたちの背中を預けるんだ。しっかり頼むよ、騎士様」
「フン。……死ぬなよ」
カゲロウも、ぶっきらぼうに言いながら、その輪に加わった。
「はい……! 必ず!」
セラフィーナは、初めて心の底からの、花が咲くような笑顔を見せた。 王都の闇は、まだ完全には晴れていない。だが、ここには確かに、決して消えることのない希望の光が灯っていた。
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