表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『Transients』〜異世界で筋肉無双してモテたい!〜  作者: NewSankin
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

163/166

【42-3】『最強』の出撃

アルドレッドが「穏健派への根回しにはまだ時間が……」と苦渋の表情を浮かべ、ゼノヴィアの血管が切れそうになった、その時。  

それまで傍観を決め込んでいたリヒトが、薄い唇を歪めて笑った。


「……公式な手段では、手詰まりのようですね。

ですが皆様。一つだけ、盤上を動かすための面白い『駒』が、すでに現地に到着しているのですが……ご興味は?」


全員の視線がリヒトに集中する。

彼は、手元の資料をテーブルの中央に滑らせた。


「例の新人、『クラッシャー』ことイワクラ・マモル一行です。

彼らは現在、個人的な因縁でモルゴーを追い、マギア共和国に潜伏中。

そして重要なのは、彼らがモルゴーに敵対するセオドア侯爵の庇護下にあるという事実です」


アルドレッドが難色を示す。


「しかし、彼らが動けば、それこそ国際問題に……!」


「ご心配なく」  


リヒトは人差し指を立ててチッチッ、と舌を鳴らした。


「彼らのバックには、ウィンズレイ家、そしてルミナス家という、二つの大貴族がついています。

彼らは、我々ギルドの命令系統とは関係のない、独立した『協力者』として動くことができる。

いわば、我々の手も届かない、治外法権グレーゾーンの存在です」


その言葉を聞いた瞬間、ゼノヴィアの表情が変わった。

怒りが消え、代わりに肉食獣のような獰猛な笑みが浮かぶ。


「……ハッ! 面白い! あいつら、あたしがとやかく言う前に、もう喧嘩を始めてやがったか! 気に入ったぜ!」


リヒトは、ゼノヴィアの反応を待っていたかのように、最後の一手――『ジョーカー』を切った。


「皆様、お忘れかな? ワールド・ギルド・ユニオン憲章、第9条。

『ギルドは、所属する組合員の生命と安全を、あらゆる脅威から保護する義務を負う』」


リヒトは芝居がかった仕草で両手を広げる。


「我々が、他国へ軍隊を送り、モルゴーを『討伐』しに行くことはできない。これは侵略行為だ。

しかし……モルゴーの近くでたまたま活動している、

将来有望なギルド所属の冒険者イワクラ・マモルが、『生命の危機に瀕している』となれば話は別です」


リヒトの瞳が、狡猾に光る。


「我々は、彼らを『救出』するという崇高な大義名分の下、堂々とマギア共和国に介入できる。

人命救助を妨げる権利は、いかなる国家にもありませんからね」


完璧な論理のすり替え。

法の抜け道を利用した、強引な一手。  

アルドレッドは呆気にとられて唸り、ポルティアは「なるほど、それなら予算の名目は『緊急災害救助費』で……」と素早く算盤を弾き始めた。


そして。  

それまで沈黙を保っていた総帥エイブラハムが、カッと目を見開いた。

その眼光は、老いてなお衰えぬ覇気に満ちていた。


「……無謀な賭けだ。しかし、闇が最も深い時にこそ、一筋の光は輝きを増すもの」  


エイブラハムの視線が、ゼノヴィアを射抜く。


「ゼノヴィア、君に命じる。『組合員救出任務』のため、君が選ぶ最強の精鋭を率い、マギア共和国へ向かえ。

……だが、これは戦争ではない。くれぐれも、やりすぎるなよ?」


総帥の許可。  

それを聞いたゼノヴィアは、立ち上がり、バキボキと指を鳴らした。  

その全身から、室内の空気を歪めるほどの凄まじい闘気が立ち昇る。


「チームだと? ハッ!」


彼女は口の端を吊り上げ、凶悪極まりない笑顔で言い放った。


「あたしほどの英雄に、足手まといは必要ねえ! あたし一人で十分だ!」


最強の戦士が、ついに動き出す。  

それは、手詰まりだった護たちの元へ、最大にして最凶の援軍が向かうことを意味していた。  

嵐の予感が、マギア共和国へと近づきつつあった。

お読みいただきありがとうございます!


もし「面白そう!」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、 ページ下の【☆】マークから評価や、ブックマーク登録をしていただけると、作者のモチベーションがマッハで上がります! (感想もお待ちしています!)


★更新予定 毎日19時に更新します。ストックはあるつもりなので、安心してお付き合いください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ