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『Transients』〜異世界で筋肉無双してモテたい!〜  作者: NewSankin
第一章

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【38-2】魔導都市の洗礼

数日後。

一行を乗せた船は、マギア共和国の港へと到着した。  

そこから首都マギカへと足を踏み入れた瞬間、護は驚きのあまり立ち止まった。


「すげぇ……! なんだか、俺がいた世界のSF映画に、少しだけ似てるな……」


そこは、エルドラドの熱気やリベルタの潮騒とは全く異なる世界だった。  

整然と区画整理された街並み。石畳ではなく、滑らかな特殊素材で舗装された道路。

その上を、車輪のない箱型の乗り物が、青白い魔法の光を噴射しながら音もなく滑っていく。

空中に浮かぶ半透明の掲示板には、ニュースや広告が次々と映し出されていた。  

無機質だが、圧倒的に高度な魔法文明。

それがマギア共和国だった。


一行はエレノアの紹介状を頼りに、セオドア・フォン・ルミナス侯爵の屋敷を訪れた。  

通された書斎は、床から天井まで本で埋め尽くされ、インクと古い紙の匂いが漂っていた。

その中央の執務机に、一人の初老の男が座っていた。  

神経質そうな細い顔立ちに、銀縁の眼鏡。

セオドア侯爵は、手元の書類から目を離さずに口を開いた。


「君たちが、ウィンズレイ家が寄越した冒険者かね。話は聞いている。ドクター・モルゴーを追っていると」


ようやく顔を上げたセオドアは、まず護の規格外の巨体を一瞥し、あからさまに眉をひそめた。

まるで、高貴な美術館に泥だらけの岩が置かれているのを見たような目だ。  

次に視線をメルに移すと、わずかに表情を和らげた。


「……君が、メルクリウス・マグヌス君かな? 君の師、アウレリア殿のことはよく存じている。

女性でありながら、あそこまでの偉業を成し遂げた錬金術師は、このマギア広しといえどそうはおらん。

素晴らしい才女だった」


しかし、それは一瞬のこと。

彼は再び護とカゲロウに、侮蔑を含んだ冷ややかな視線を突き刺した。


「正直に言おう。私は、メル君がいるとはいえ、君たちのような素性の知れん冒険者を信用していない。

特に君だ、イワクラ・マモルと言ったか」


 セオドアは眼鏡の位置を直し、吐き捨てるように言った。


「その有り余る筋肉。野蛮な力。知性なく振るえば、それはただの暴力に過ぎない。我々マギア共和国において、最も忌み嫌われるものだ」


重苦しい沈黙が流れる。  

護たちがモルゴーとの因縁、リベルタでの出来事を語っても、セオドアの懐疑的な態度は崩れなかった。

彼はため息交じりに首を振る。


「口だけなら何とでも言える。私とて、モルゴーのやり方は好かん。彼の派閥から何度も勧誘を受けたが全て断っている。

おかげで最近は嫌がらせが酷くてな。命の危険すら感じている」


セオドアは苦々しげに語った。


「私兵だけでなくギルドにも護衛を依頼したが、モルゴー派閥の圧力を恐れてか、誰も引き受けてはくれん。誰も彼も、自分の保身ばかりだ」


その言葉を聞いた瞬間、護が一歩前に進み出た。  

床板がミシリと鳴る。

護は、セオドアの机に両手をつき、その理知的な瞳を真っ直ぐに見据えた。


「だったら、俺たちが信用できるかどうか、あんたのその目で試してみりゃいい」


「な、なんだと……?」


「何か困ってることや、悩み事はあるか? 俺たちが、全部解決してみせる。俺たちは、保身なんかで動いちゃいねえ」


威圧感とは違う、圧倒的な「自信」と「熱量」。  

その真っ直ぐな瞳に、セオドアは一瞬たじろぎ、言葉を詰まらせた。

計算や論理では測れない何かが、目の前の男にはある。  

彼はしばし沈黙した後、半信半疑ながらも、彼らの実力と覚悟を試すための一つの条件を提示した。


「……よかろう。ならば、一つ頼まれてくれ。

私の領地にある古代遺跡……『月の聖堂』に、最近、素性の知れぬ者たちが出入りしているという報告がある。

あれがモルゴーの息のかかった者たちなのか、調べてきてもらいたい。

もし成果を上げれば――君たちを信じ、モルゴー打倒に協力しよう」

お読みいただきありがとうございます!


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★更新予定 毎日19時に更新します。ストックはあるつもりなので、安心してお付き合いください。

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