【36-3】色彩の迷宮と、破壊された平和
衛兵たちに見送られ、護、カゲロウ、メル、そしてリチャードの四人は、ついに『色彩の地下回廊』へと足を踏み入れた。
「うわっ……! なんだここ、すげぇ綺麗だな!」
内部は、壁や床が、様々な色の魔晶石でできており、美しくも、どこか不気味な光を放っている。
「ここは、古代の芸術家が、世界中から集めた魔法の顔料を使って作ったと言われています。
この光は、彼の魔力が、今もなお宿っている証拠なのです」
リチャードの案内で、一行は順調に進んでいくが、彼はすぐに異変に気づく。
「おかしい……。本来なら、この辺りには、色とりどりのスライムがいるだけのはずが……」
彼らの前に現れたのは、壁画から滲み出したような、歪な形をしたピグメント・ウーズだった。
モンスターを薙ぎ倒しながら進む一行は、このダンジョンの名物である、色を使ったパズル型のギミックが仕掛けられた扉の前にたどり着く。
しかし、その扉は、まるで巨大な力でこじ開けられたかのように、無残に破壊されていた。
「馬鹿な……! この扉を、力ずくで破壊するなど……!」
「……誰かが、ボクたちより先に、この奥へ進んでいるな」
一行は、警戒を最大にしながら、ダンジョンの最奥へと進む。
ダンジョンの最奥手前の広場。そこに広がっていたのは、無残に破壊された、クリスタル・レインボーゴーレムの残骸と、消息を絶ったBランクパーティーのものと思われる、ボロボロの武具だった。
広間の中央では、一体の、見たこともないゴーレムが、レインボーゴーレムの残骸から、何かを熱心に集めていた。
その体は、ステンドグラスのように様々な色の結晶体で構成されており、内部から禍々しい光を放っている。
「あれが、ここのボスか……?」
護が呟くと、リチャードが首を横に振る。
「いや、違う! あのようなゴーレムは、記録にない!」
その時、ゴーレムが、一行の存在に気づいた。
「ウオオオオオッ!」
護が先陣を切って戦斧を叩きつけるが、ゴーレムの結晶体の装甲は、予想以上に硬い。
完全に敵と認識したゴーレムは、その口から七色の破壊光線を放つ。
護は、闘気を纏ってそれを防ぐが、防御だけで手一杯になる。
「カゲロウ!」
「分かっている!」
カゲロウは、ゴーレムの足の関節部分を的確に攻撃し、体制を崩しにかかる。
しかし、ゴーレムは体からピグメント・ウーズを召喚し、カゲロウの動きを阻害する。
「ちぃっ!」
「二人とも、持ちこたえろ!」
メルは、その戦況を冷静に分析し、ゴーレムの結晶が、特定の音波に弱いことを見抜く。
メルは、錬金術キットで、結晶を脆くする特殊な音波を発する装置を、即席で作り始めた。
護とカゲロウが、必死で時間を稼ぐ。
そして、ついにメルの装置が完成し、甲高い音波が広間に響き渡った。
キィィィィィィン!!
ゴーレムの結晶体の装甲に、無数のヒビが入る。
その隙を、カゲロウが見逃さない。
彼は、関節部分を完全に破壊し、ゴーレムの体勢を大きく崩した。
「今だ、脳筋!」
「おうよ!」
護は、闘気を最大限に高めた渾身の一撃を、脆くなったゴーレムの胴体に叩き込み、その体を完全に粉砕した。
「ふぅ……。なんとかなったか」
ゴーレムが集めていた「虹色の顔料」と、その核を回収し、一行が安堵のため息をついた、その時だった。
広間の入り口から、二人の人影が現れた。
「ご苦労だったな、人間ども。おかげで、面倒な下処理が省けた。
さあ、そのゴーレレムの核と、そこの顔料を、大人しくこちらへ渡してもらおうか。
そうすれば、命だけは見逃してやる」
「おーい、ゼーロス隊長……。こいつら、思ったより元気そうじゃねえか。戦うのは面倒なんだが……。
さっさと終わらせて、昼寝の時間にしようぜ……」
そこに立っていたのは、回収任務に来た、二人の魔族だった。
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