【33-2】『闘気』の洗礼
一方、地下訓練場。 護は、ゼノヴィアと対峙していた。
しかし、彼女の圧倒的な強さの前に、護は防戦一方だった。
「どうした、小僧! その程度か! ヴァルガスとやり合ったというから、少しは期待したのだがな!」
ゼノヴィアの戦斧が、護の鎧を容赦なく削っていく。
「くそっ……! なんでだ、パワーなら、負けてねえはずなのに……!」
「腕力だけなら、貴様は世界でも屈指だろう。だが、それだけだ。宝の持ち腐れとは、貴様のような奴のことを言うのだ!」
ゼノヴィアは、護の攻撃を軽くいなすと、一度距離を取った。
「小僧、よく聞け。貴様は、自分の本当の力の、百分の一も使えていない」
「はあ? 何言ってんだよ! 俺は、いつも全力だぜ!」
「それが違うと言っているのだ!」
ゼノヴィアは、ふっとその身から淡い、しかし凄まじいプレッシャーを放った。
空気が、重く、濃密になる。
「見ろ、小僧。これが『闘気』だ。体内の魔力と生命力。その二つを練り合わせ、肉体を内側から強化・硬化させる技術。ヴァルガスも、あたしも、そしてさっき貴様が倒したあたしの部下たちも、これを纏って戦っていたのだ」
護には、難しい理屈は分からない。
だが、目の前のゼノヴィアが、先ほどまでとは比較にならないほど強大な存在に見えた。
「貴様の体は、火薬がパンパンに詰まった樽だ。だがな、貴様はその重い樽を、ただ敵に投げつけているだけに過ぎん。闘気とは、その火薬に火をつけ、大砲としてぶっ放す技術のことだ!」
「火薬に……火をつける……?」
「そうだ。だが、今の貴様には、その火種の付け方すら分からんらしい。……だから、教えてやる。死の淵でな」
ゼノヴィアは、護に本気を出させるため、その瞳から笑みを消した。
「ここからは、本気でお前を殺しにいく。お前の中にある『闘気』を、死ぬ気で引き出してみせろ。できなければ、死ね」
ゼノヴィアから放たれる、本物の殺気。
そのプレッシャーは、護にヴァルガスとの絶望的な戦いを思い出させた。
(やべえ……! こいつ、本気だ……! 死ぬ……!)
護の脳裏に、夢で見た光景がちらつく。
(俺が、ここで死んだら……あいつらは……)
ゼノヴィアの戦斧が、護の首筋めがけて、容赦なく振り下ろされる。
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