【32-4】ギルド本部への報告、そして……
護は、自分が眠っている間に起こった、もう一つの死闘を知った。
「……そうか。みんな、無事だったんだな。メル、アリア、ギデオンたち……みんなが、俺たちを助けてくれたんだな。……ありがとう」
護は、仲間たちの絆を、改めて噛み締める。 メルが、そこで提案した。
「護、カゲロウ。ギルド本部に、今回の件を報告しに行くぞ。ヴァルガス……魔王軍が絡んでくるとなると、僕たちの力だけじゃあどうにもならない」
三人は、報告のためギルド本部へ向かう。
受付のソフィアに話を通してもらい、アルドレッドの元へ。 アルドレッドに、トルトゥーガでの一連の出来事、そして魔王軍第一軍団長ヴァルガスの出現を、メルが冷静に報告する。
アルドレッドは、
「魔王軍……!?」
と、その名を聞いて驚愕する。
モルゴーだけでなく、魔王軍までが関わっているとなれば、話が大きく変わってくる。
彼は、
「一度、この件を緊急の幹部会議にかける必要がある」
と言う。 護たちへの報酬や、今後の話をしようとした、その時だった。
会議室の扉が、凄まじい勢いで、乱暴に開かれた。
「おい、アル! 訓練場が壊れたんだけどよ、ポルティアに修繕費を捻出させといてくれ!」
そこに立っていたのは、戦闘総括長官、ゼノヴィアだった。
「(深いため息)……ゼノヴィアさん、扉の前に『会議中』の札が貼ってあったと思うのですが……。それに、なぜ私があなたの代わりに、ポルティアさんと交渉を……」
「だってよぉ〜、あいつ、めんどくさいんだもんよ! ネチネチとしつけーしよー……って、あん?」
ゼノヴィアの目が、護の姿を捉えた。
「おい、そこのお前。立ってみろ」
護が立ち上がると、ゼノヴィアは、獲物を見つけたかのような、獰猛な笑みを浮かべた。
「お前が、磐座護だな?」
護の全身を見回す。
「アル! こいつ、借りてくぜ!」
彼女は、有無を言わさず、護の首根っこを掴んで、部屋から連れ出そうとする。
「お待ちください、ゼノヴィアさん! まだ、報酬の受け取り証明のサインや、今後のスケジュールが……!」
「そんなん、そこのチビガキ(メル)と話しときゃいいだろ! あ、それと、修繕費の捻出、よろしくなぁ!」
護は、そのまま、彼女に引きずられるようにして、連れて行かれてしまった。
護が連れてこられたのは、あちこちが破壊された、巨大な訓練場だった。
「おう! お前ら! 集合!」
ゼノヴィアの号令で、訓練していた者たちが、一瞬で整列する。
「今から、こいつと戦ってもらう。安心しろ、全力を出してもかまわねえ。こいつを倒せたら、特別休暇とボーナスだ!」
「はぁ! いきなり連れてきておいて何なんだよオバさん!」
護が抗議しようとするが、
「うるせぇなぁ、男だったらグチグチ行ってねぇで、戦え!」
護は、次々と現れる屈強な冒険者たちと、強制的に戦わされる羽目に。
しかし、護は戦いの中で、奇妙な違和感を覚える。
(完全に体格では俺が上なのに、本気ではないとはいえ力が拮抗する時がある……!)
そして、最後に現れた、護と同じくらいの体格を持つ獣人の男との戦いで、護はヴァルガスに続き、純粋な「力」で押し負ける経験をする。
辛くも勝利はしたが、護の心には焦りと、そして新たな闘志が燃え上がっていた。
全ての挑戦者を退けた護の前に、最後にゼノヴィア自身が、巨大な戦斧を担いで立ちはだかる。
「さて、準備運動は終わりだ、小僧。ここからは、あたしが直々に、お前の『本当の力』とやらを、見極めてやる」
その瞳は、ヴァルガスと同じ、強者だけが持つ、獰猛な光を宿していた。
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