【32-3】再会と、新たな誓い
その後、治療魔法士の治療を受け、ある程度動けるようになった護の元へ、カゲロウがやってくる。
「……護」
「カゲロウ! お前、もう大丈夫なのか!?」
「ああ。……すまん。俺が、不甲斐ないばかりに……お前一人に、無理をさせた」
カゲロウが、深く頭を下げる。
「よせやい、カゲロウ。俺だって、あいつには手も足も出なかった。……なあ、カゲロウ。俺たち、もっと強くならねえとな。次は、絶対に負けねえ」
「……ああ」
二人が、静かに、しかし固く、再起を誓う。 その時だった。
「護……!」
隣のベッドで眠っていたメルが、目を覚ました。
メルは、護の姿を見るなり、涙を浮かべて駆け寄ってくる。
「この、大馬鹿者がーーーーーっ! どれだけ、心配したと……! うわあああん!」
メルは、子供のように泣きじゃくりながら、護の胸に顔をうずめた。
護は、その小さな体を、優しく抱きしめた。
「……悪かった、メル。もう、二度とあんな思いはさせねえ。俺は、もっと強くなる。次は、絶対に負けねえ。絶対に、お前たちを守り通してみせるから。……だから、もう、泣くな」
落ち着きを取り戻した後、護はメルに、自分が倒れた後のことを尋ねた。
アリアや、船員たちの安否も。
「……ああ。君が、あの後どうなったか、話さなければならないな」
メルはゆっくりと、あの絶望的な状況を、時間を遡るように語り始めた。
(以下、メルの回想)
「護!」
君が、あのヴァルガスという男と激しく打ち合っている間、ボクはただ見ていることしかできなかった。
君のあの姿……赤いオーラをまとった、まるで理性のない、ただの破壊の獣のような姿に、正直、少しだけ恐怖した。
だが、ヴァルガスが去り、君が倒れた時、ボクは我に返った。
「護! しっかりしろ、護!」
君の傷は、ボクの知識をもってしても、絶望的なほどに深かった。
一刻も早く、治療が必要だった。
「アリア! 目を覚ませ! 君の力が必要だ!」
ボクは、まだ気を失っていたアリアを叩き起こした。
「メルさん、こりゃあいったい……」
「ギデオン! 船員たちを連れて、すぐにここへ来てくれ! 急げ!」
戦闘の音を聞きつけて、ちょうどギデオンたちが駆けつけてくれたのは、幸運だった。
ボクたちは、君とカゲロウを船へと運び、すぐさまトルトゥーガを出航しようとした。
だが、港には、賭けに負けて逆上した海賊たちが、ボクたちの船を完全に包囲していた。
「おい、待てや! あの化け物の仲間だな! 俺たちの賭け金を、どうしてくれるんだ!」
「船と、積荷と、そこの女たちを置いていけば、見逃してやらんこともないぜぇ?」
主力の二人を失い、船はボロボロ。まさに、絶体絶命の状況だった。
「わたくしが、あの者たちの前に出ます。貴族であるわたくしを人質に取れば、彼らも満足するはず……」
アリアが、そんな馬鹿なことを言い出した。
「無駄だ! 奴らは、君を人質にして、さらに要求を吊り上げてくるだけだ! そんなことをすれば、君も、ボクたちも、全てを失うぞ!」
ボクがそう一喝しても、他に手はなかった。
万策尽きた、と思った、その時だった。
どこからともなく現れたんだ。漆黒の、巨大な海賊船が……。
その船は、ボクたちを囲んでいた海賊船を、まるで子供をあやすかのように、圧倒的な火力で、次々と撃沈させていったのだ。
「……敵か? 味方か? 分からない……! だが、今は、これしか! ギデオン! 全速力で、ここから離脱するぞ!」
ボクは、その好機を逃さず、ギデオンに指示した。
そして、なんとかリベルタリアの港までたどり着いたんだ。
港で一番近くの診療所を尋ね、駆け込んだのが、このドラヴィックという医者の診療所だった。
治療中、ボクはアリアに実家と連絡を取るよう指示し、船員たちには、それぞれの故郷に帰っても良いと告げた。
だが、彼らは……
「船長が目覚めるまでは、ここを離れられない」
そう言って、この街に残ってくれた。アリアも、彼らのための宿を手配し、今はそこで、ボクたちの帰りを待ってくれている。
(回想、終わり)
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