【32-1】悪夢
闇。 どこまでも続く、冷たく重い闇の中。
護は、一人で立っていた。 目の前には、あの男がいる。
巨大な黒い戦斧を肩に担ぎ、まるで自分を値踏みするように、静かに見下ろしている。
「来い、小僧。貴様の『本性』を見せてみろ」
その声は、絶対的な強者の響きを持っていた。
「うおおおおおっ!」
護は叫び、戦斧を振るう。
しかし、その刃はまるで分厚い水の中を振るうかのように重く、男に届かない。
逆に、男の放つ一撃が、護の体を何度も、何度も、容赦なく吹き飛ばす。
痛い。苦しい。勝てない。
(くそっ……! なんでだ……! なんで、届かねえんだ!)
男は、倒れた護を見下ろし、嘲笑う。
「お前の力は、その程度か。その程度の力で、仲間を守れるとでも思ったか?」
その言葉に、護はハッと背後を振り返る。
そこには、怯えるメルと、傷ついたカゲロウがいた。
男は、ゆっくりと二人に向かって歩いていく。
「やめろ……」
護は立ち上がろうとするが、体が言うことを聞かない。
「やめてくれ……!」
男は、その声など聞こえていないかのように、二人の前で巨大な戦斧を無慈悲に振り上げた。
「やめろおおおおおおおおおおっ!!」
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