【31-4】赤黒い暴走(バーサーク)
ドクンッ。 護の心臓が、早鐘を打つ音とは違う、異質な鼓動を刻んだ。
「う、おおおおおおおおおおっ!!!!」
絶叫。 それは人間の声ではなかった。
追い詰められた護の体から、噴き上がるものがあった。
血のような赤と、闇のような黒が混ざり合った、禍々しいオーラ。
全身を鎧うように渦を巻き、天へと立ち昇る。
「なんだ、あの色は……?」
男が動きを止め、怪訝そうに目を細めた。
見たこともない、不吉で異質なエネルギーの奔流。
「■■■■■■ッ!!」
言葉にならない咆哮と共に、護が消えた。
床板が爆散する。 理性を捨て、ただ敵を破壊することのみに特化した、純粋な殺意の塊。
次の瞬間、男の目の前に「それ」はいた。
「速いな」
男が反応し、戦斧で受ける。
ガギィィィィィィン!!
金属音というよりは、爆発音に近い衝撃が周囲を薙ぎ払った。
船長室の壁が消し飛び、衝撃波だけで海面が割れる。
「ガァアアアアッ!!」
暴走した護は止まらない。
斧が弾かれれば拳を。拳が防がれれば頭突きを。
痛みなど感じていないかのように、人間離れした速度と馬鹿力で攻め立てる。
その一撃一撃が、岩盤すら粉砕する威力だ。
普通の相手なら、とっくに肉片になっているだろう。
だが――。
「……ふん。獣か」
男は、その猛攻を全て受け切っていた。 一歩も下がらない。
黒鉄の鎧は、暴走した護の拳を受けても、僅かに軋む音を立てるだけだ。
「力任せに振るうだけの暴力。確かに重いが――」
男は、護の渾身の右拳を、あろうことか片手でガシリと掴み止めた。
「芸がない」
「グ、ルァ……ッ!?」
護がどれだけ力を込めても、万力のような男の指はびくともしない。 圧倒的。
暴走し、リミッターを外し、命を削って出した力ですら、この男には届かないのか。
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