表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『Transients』〜異世界で筋肉無双してモテたい!〜  作者: NewSankin
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

123/168

【30-1】決勝戦、そして悪夢の開幕

『海賊コロシアム』決勝戦の日。


トルトゥーガ沖合に特設された岩礁会場は、前日までの熱狂を遥かに凌ぐ、異様な興奮に包まれていた。

空は抜けるように青く、海は鏡のように穏やかだ。

だが、その静けさが逆に、これから始まる死闘の激しさを予感させていた。


「相手は、準決勝で戦った『血濡れ鮫』より格下の海賊団だそうだ。油断はできねえが、勝てる!」


『最強!スーパーガーディアンズ号』の甲板で、護が拳を握りしめて仲間たちを鼓舞する。

その言葉に、ギデオンを始めとする船員たちが力強く頷いた。

かつて奴隷として絶望に曇っていた彼らの瞳には、今は「自由」への希望と、自分たちを救ってくれた若き船長への絶対的な信頼が宿っている。


「さあ、野郎ども! ついにこの時が来たぜ! 『海賊コロシアム』決勝戦! 栄光と、富と、美女を手に入れるのは、一体どいつだぁ!?」


実況のアナウンスが響き渡り、開戦を告げる巨大な花火が空に打ち上げられた。

乾いた破裂音が海面に響く。それが、悪夢の引き金だった。


「――なんだ?」


カゲロウが、鋭く海面を睨んだ。 違和感は一瞬。

次の瞬間、対戦相手の船の下から、海水が沸騰したかのように激しく泡立ち始めたのだ。


「うわあああっ!?」


悲鳴と共に、海中から槍のように突き出した巨大な『何か』が、相手の船を一撃で粉砕した。

木片が舞い、船員たちが宙に放り出される。それは、太く、ぬらぬらと濡れた紫色の触手だった。

一本ではない。二本、三本――無数の触手が海面を割り、砕けた船の残骸と人間を、まるでゴミのように海中へと引きずり込んでいく。


「な、なんだありゃあ……!?」


会場の歓声が、瞬時にして悲鳴へと変わる。

波が割れ、海中からその『本体』が姿を現した。

それは、巨大なイカのようでありながら、どこか人間的な歪さを残した異形の怪物。

かつて海賊バルボスだった成れの果て――魔獣バルボスである。

人間の悲鳴と獣の咆哮を混ぜ合わせたような、おぞましい叫び声が、トルトゥーガの海を震わせた。


「グオオオオオオオッ!!」


魔獣バルボスは、敵味方の区別なく、周囲の船を無差別に攻撃し始めた。

巨大な触手が一薙ぎされるたびに、観戦していた海賊船が紙細工のように砕け散る。

逃げ惑う人々、燃え上がる船体。コロシアムは一瞬にして阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。


「逃げろ! 早く船を出せ!」

「助けてくれ! こっちに来るな!」


「なんだ、ありゃあ!?」


護が目を見開いて叫ぶ。その問いに、メルが顔色を変えて答えた。


「あの禍々しい魔力……間違いない、グラックに使われたものと同じ薬だ……! あの化け物の正体は、薬を投与された人間か……!?」


分析する間にも、触手の一撃が近くの岩礁を粉砕し、瓦礫の雨を降らせる。

このままでは全滅だ。メルは即座に判断を下した。


「総員、退避! 陸へ向かえ! この船の機動力なら振り切れる!」


「おうよ! 取り舵いっぱいだ! 風を捕まえろ!」


ギデオンの怒声が飛び、船員たちが必死の形相でロープを引く。

船体が大きく傾き、急旋回を始めた。 だが、魔獣は逃げる獲物を許さなかった。

赤く燃える巨大な単眼が、護たちの船を捉える。


「まずい! 追いつかれるぞ! もっと帆を張れんか!」


「もう全開です! これ以上は……! 船が持ちません!」


操舵手のダグラスが悲鳴を上げる。

背後から迫る紫色の触手は、まるで生き物のように――いや、明確な殺意を持った生き物として、船尾へと迫っていた。


「チッ……!」


カゲロウが抜刀し、船べりに飛び乗る。

迫りくる触手に対し、神速の居合いを一閃させた。 鮮血が飛び散り、巨大な肉塊が海に落ちる。

だが、切り落とされた断面から、ボコボコと不気味な泡が立ち上り、瞬く間に新たな触手が再生してしまった。


「嘘だろ……!?」


「ダメだ! あの薬の効果で、驚異的な再生能力を得ている! 本体を叩かなければ意味がない!」


メルの叫びも虚しく、再生した無数の触手が船体を絡め取った。

メリメリと船体がきしむ嫌な音が響き、船は完全に動きを封じられてしまった。

お読みいただきありがとうございます!


もし「面白そう!」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、 ページ下の【☆】マークから評価や、ブックマーク登録をしていただけると、作者のモチベーションがマッハで上がります! (感想もお待ちしています!)


★更新予定 毎日19時に更新します。ストックはあるつもりなので、安心してお付き合いください。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ