【28-3】連勝と、忍び寄る影
続く二回戦の相手は、多数の大砲を搭載した、火力自慢の中堅海賊団『アイアン・ジョーズ』だった。
今度は、メルが動く。
「脳筋、カゲロウ! 大砲の準備だ! あとは、ボクの合図を待て!」
メルは、師匠アウレリアから貰ったキットで生成した、特殊な煙幕弾を風上に向かって投げ込んだ。
プシュウウウウウ!
辺り一面が、視界の全く効かない濃密な白煙に包まれる。
「な、なんだ!? 何も見えねえぞ!」
相手の船はパニックに陥り、煙の中にいるであろう護たちの船に向かって、やみくもに大砲を乱射し始めた。
だが、当然当たらない。あっという間に弾を使い果たしてしまう。
煙が晴れた時、目の前に無傷で現れた護たちの船を見て、相手の船長は愕然とした。 戦
意を喪失し、力なく白旗を上げる。 こうして、『海賊コロシアム』の初日は、護たちの圧勝で幕を閉じた。
その夜。 『最強!スーパーガーディアンズ号』の船上では、ささやかな祝勝会が開かれていた。
護は再び腕によりをかけて、勝利を祝うための豪華な料理を振る舞う。
「船長、今日の操舵、どうだった?」
「ああ、最高だったぜ! お前らのおかげで、楽勝だったな!」
「明日の相手は、もっと強えのかな?」
「どんな奴が来ても、俺たちの船なら負けねえよ!」
船員たちは、もはや彼を「奴隷を解放した、ただの優しいお人よし」としてではなく、「自分たちの力を信じてくれる、頼れる船長」として、心からの尊敬の念を向けていた。
アリアも、その光景を嬉しそうに眺めている。
「すごいですね、皆さん……。まさか、これほどの腕を持つ船乗りたちが、奴隷として売られていたなんて……」
甲板には、昼間の戦闘の興奮と、勝利の喜び。そして、明日への希望が満ち溢れていた。
その頃、『ブラック・クラーケン号』の船長室。
コロシアムの運営を取り仕切る海賊たちが、忌々しげに報告をしていた。
「キャプテン! 例の冒険者ども、勝ち進んでます! 奴らのせいで、賭けの配当がめちゃくちゃに……!
常連客からのクレームが殺到してますぜ!」
報告を聞いていた、コロシアムの主催者――キャプテン・“デッドアイ”・バルボスは、冷や汗をかきながらも不敵な笑みを浮かべていた。
「まあ、いい。素人の運も、ここまでだ。 明日の三回戦、奴らの相手は、決まっているんだろうな?」
部下は、ニヤリと卑しい笑みを浮かべる。
「へい! 明日は、この海域で最も残忍とされる、『血濡れ鮫海賊団』とぶつけます。まぐれで勝てる相手じゃありません」
「ククク……面白い。これで、あの忌々しいダークホースもおしまいよ。せいぜい、海の藻屑になるがいい」
護たちの知らないところで、次なる卑劣な罠が、すでに仕掛けられていた。
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