【28-1】海賊コロシアム、開幕
トルトゥーガ沖合に浮かぶ、巨大な岩礁を改造したコロシアム会場。
その周囲には、おびただしい数の海賊船が、まるで獲物に群がるサメのように集結していた。
護たちの船『最強!スーパーガーディアンズ号』が一角にある船着き場に到着すると、そこはすでにお祭り騒ぎのような熱気に包まれていた。
甲板では屈強な海賊たちが酒を飲み交わし、これから始まる戦いの出場者たちに野次を飛ばしている。 賭け事が公然と行われ、誰が勝ち残り、誰が海の藻屑と消えるのか、欲望に満ちた怒号が飛び交っていた。
「おい、見ろよ! あそこの船、オンボロのキャラベルじゃねえか!」
「なんだありゃ、冒険者のお遊びか? こんな場所に来るなんて、命知らずにも程があるぜ!」
周囲からの容赦ない嘲笑に、アリアが心配そうに護を見上げる。
「護様……わたくしたちの船、そんなにみすぼらしいでしょうか……」
「ん? そうか? 俺は、頑丈そうで気に入ってるけどな!
ピカピカの船より、こっちの方が、歴戦の勇士って感じでカッケェじゃねえか!」
護が豪快に笑い飛ばすと、アリアの表情にあった不安も少しだけ和らいだ。
その時、大音量の実況アナウンスが会場全体に鳴り響いた。
「さあ、野郎ども! 待ちに待った『海賊コロシアム』の時間がやってきたぜ!
今日、この海で、最強の船乗りが決まる!
富と名誉、そして美女を手に入れるのは、一体どいつだぁ!?」
アナウンサーは、全16隻の参加海賊船を、その悪名と共に一隻ずつ紹介していく。
そして護たちの番になると、彼はあからさまに嘲笑うような声色で告げた。
「さあ、そして、こちらが今回のダークホース!
この日のためにどこかからオンボロ船を借りてきた、物好きな冒険者ご一行!
その名も……『最強!スーパーガーディアンズ』の入場だァ!」
会場から、失笑と野次が飛ぶ。
しかし護は、そんなことなど全く気にせず、甲板の先頭に仁王立ちし、集まった海賊たちに満面の笑みで手を振っていた。
「ルールは簡単! トーナメント形式で、4回勝てば優勝だ!
この定められた海域内で、相手の船を航行不能にするか、相手のクルー全員を戦闘不能にする、
あるいは降参させれば勝利となる! 武器も、魔法も、卑怯な手も、何でもアリのデスマッチだ!」
アナウンサーがルールをがなり立てると、すぐに組み合わせの抽選が始まった。
「さあ、記念すべき第一回戦!
東の海域! 赤コーナーは、最近この海域で名を上げている、新進気鋭の海賊団『クリムゾン・バイパー』!
対する青コーナーは、先ほど紹介した物好き冒険者ご一行、『最強!スーパーガーディアンズ』だぁ!」
護たちの最初の対戦相手が、高らかに告げられる。
「お、俺たちが一番最初か! よっしゃ、気合入るぜ!」
護が腕をぶんと振る。
「クリムゾン・バイパー……聞いたことのない名だな。
だが、船は新しい。おそらく、どこかの金持ちが道楽でやっている海賊団だろう」
カゲロウが相手の船を鋭い視線で分析する。
「ふん、見た目だけは立派だが、中身はどうだか。ボクたちの船の方が、よほど味がある」
メルも、負けじと鼻を鳴らした。
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