【24-2】彼がいた世界と、小さな贈り物
メルは、改めて護を見つめた。
ボロボロにはなっているが、
この世界の衣服とは明らかに違う、不思議な意匠の服。
「……君は、元の世界では、何をしていた?」
護は、少しだけ遠い目をして笑った。
「ただの高校生だよ。
毎日学校行って、友達とだべって、飯食って……
勉強は、まあ、苦手だったけどな」
学校帰りの駅。
トイレの個室。
扉を開けた瞬間、目の前が白い光に包まれた。
気づいた時には、
マリーナ近郊の森の中に立っていた。
「……ずいぶん、あっさりしているな」
「そうか?
俺からしたら、今でも夢みたいだけどな」
護は、ふと思い出したように、胸元の内ポケットを探った。
「そういや――
あの時から、ずっとこれが入ったままだったんだ」
取り出したのは、黒く硬質な一本のペン。
「軍用のタクティカルボールペン。
俺の世界の筆記用具だ」
護は羊皮紙に、さらりと文字を書いてみせる。
見たこともない構造。
滑らかな書き心地。
メルの瞳が、わずかに輝いた。
「やるよ、メル。
お前、いつも色々調べて、書いてるだろ」
何のためらいもなく、
護はそのペンを差し出した。
それは、彼がいた世界との、唯一の繋がりだった。
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