【24-1】異世界人という事実
ワールド・ギルド・ユニオン本部からの帰り道。
ポルト・リベルタの喧騒の中を、三人は並んで歩いていた。
「いやあ、あの爺さん、面白ぇな!」
護だけは、いつも通り上機嫌だった。
「俺、気に入ったぜ。話も分かるしよ!」
だが、メルとカゲロウは言葉少なだった。
総帥エイブラハムの口から明かされた事実――
磐座護が“異世界人”であること。
その意味は、この世界において、あまりにも重い。
異世界人。
それは歴史を動かし、勇者となり、時に世界を揺るがしてきた存在。
目の前を歩く男が、
そんな“特別”に数えられる存在だという事実を、
二人はまだ完全には飲み込めずにいた。
宿屋の一室に戻るなり、護が軽い調子で言った。
「腹減ったな!
どっかで美味いもんでも食いに行こうぜ!」
しかし、メルはその前に立ちはだかる。
「待て、脳筋。
その前に、君に聞かなければならないことがある」
その小さな顔には、冗談を許さない真剣さがあった。
「……なぜ、異世界人であることを、今まで黙っていた?」
「え?」
護はきょとんとした顔をする。
「別に隠してたわけじゃねえぞ?
聞かれなかったから、言ってなかっただけだ」
「……それだけか?」
「うん。
まあ、結果的には黙ってたけどな。ごめんな?」
「ご、ごめんで済む問題か!」
メルは声を荒げ、
カゲロウもまた、深くため息をついた。
「よし! じゃあこれからは――」
護が胸を張る。
「自己紹介の時は、
『俺は磐座護!異世界から来た冒険者だ!』
って言うようにするぜ!」
「ストップ!!」
即座にメルが遮った。
「そんなことを吹聴してみろ!
君がどれほど面倒な事態に巻き込まれるか分かっているのか!」
「異世界人は、歴史上、常に強大な力を持つ存在とされてきた。
利用しようとする者、恐れて排除しようとする者……
君を狙う輩は後を絶たない!」
「……そうだ」
カゲロウも静かに続ける。
「総帥が知っていたのは、奴が特別だからだ。
この事実は、俺たちだけの秘密にすべきだ」
二人の真剣な眼差しに、
護もようやく事の重さを理解する。
「……分かった。
お前らがそう言うなら、黙っとくよ」
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