【23-3】英雄の器
「おおっ!?」
護は目を丸くした。
「なんで分かったんだ、爺さん!
すげぇな!」
その反応に、
メルとカゲロウが同時に息を呑む。
「護……君は、本当に……?」
「……どういうことだ」
エイブラハムは、静かに語り始めた。
「君のように、
別の世界からこの地に迷い込む者は、
稀ではあるが、確かに存在する」
「そして彼らは、
この世界の歴史に、
良くも悪くも大きな影響を与えてきた」
遥か昔、魔王に覆われた時代。
天から現れた最初の異世界人――初代勇者。
彼がギルドを創設し、
種族を越えて手を取り合い、
世界に再び光をもたらしたこと。
そして、旅の途中で出会った
一人の賢者の女性と結ばれたこと。
メルは、その話に、思わず顔を赤くした。
「じゃあ、俺って勇者なのか!?」
護が身を乗り出す。
「勇者って、絶対モテるよな!?」
「……違う」
総帥は、静かに首を横に振った。
「今代の勇者は、すでに別に存在する」
護は、がっくりと肩を落とす。
だが次の瞬間、
総帥の眼差しが変わった。
圧倒的な威圧感。
空気が、重く軋む。
「磐座護」
「君に問おう。
君は、この大陸で、何を成し遂げたい?」
メルは耐えきれず、その場に尻餅をついた。
カゲロウは無意識に刀の柄に手をかける。
ソフィアも、息を呑む。
だが――
「俺は――」
護だけは、何一つ変わらなかった。
「最強の冒険者になって、
女の子にモテモテになりたいです!」
沈黙。
そして次の瞬間――
「はは……はははははっ!!」
総帥が、腹を抱えて笑い出した。
「傑作だ……!
いや、実に……正直で、実に良い!」
涙を拭いながら、彼は言う。
「合格だ、磐座護。
君は――“英雄の器”だ」
謁見を終え、三人が部屋を後にした後。
執務室には、総帥とソフィアだけが残った。
「総帥……
あのような存在を、自由にさせてよろしいのですか?」
ソフィアの問いに、
総帥は穏やかに笑う。
「彼は、管理できる男ではない。
だが――導くことはできる」
そう言って、机の引き出しから一枚の古い写真を取り出す。
若き日の自分。
美しい賢者の女性。
そして――
二人の間で、屈託なく笑う一人の男。
その顔は、
今日出会った若者と、驚くほどよく似ていた。
「……世界は、また面白くなりそうだな」
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