35 アルジェントサイド
リモーネをデートに誘いたい。
私がそう言うと、リコルドとオルカに計画を立てろと指示された。私がざっくりとまとめた計画書を二人に見せると、リコルドにはため息をつかれ、オルカからはやり直しとリテイクされた。そして今、サロンに缶詰めにされている。
「アル。お前なぁ、“カフェでお茶してから雑貨を見て回る”なんて、こんな平坦なプランでどうするんだ」
「もう少し盛り上がりがないと告白なんて無理だろ」
二人がかりで責められ、途方に暮れる。そんな、デートというのはこういうものじゃないのか? 盛り上がりと言われても、祭りなどは当分予定されてないし……。
「もう少しイベント情報とか調べろよ。ちょっとした非日常が大事らしいぞ、こういうのは」
オルカの言葉に、リコルドが思い出したように話しだした。
「そういえば、海辺の岩場で洞窟迷路とかいうイベントを開催するらしいぞ」
「何だそれは?」
「魔法師団が演習で穴開けまくったんで、迷路にして客を取ることにしたらしい。転んでもただでは起きないよな、うちの魔法師団」
「いいんじゃねーの。迷路とか、カップル向きだろうし」
「それと、デートなんだから、ディナーも予約するんだぞ。海だからシーフードの美味しいレストランがいいだろうな。ロケーションも大事だ」
「あいつスイーツ好きだから、デザートの質もいいところにしとけよ」
……一気にいろいろ言われて戸惑ったが、アドバイスはありがたかった。こうしてみると、私は本当に女性の心の機微に疎い。こんな私が婚約者で、リモーネは今まで不満が無かったのだろうか。
「どうした、アル?」
「いや……私は、全然女心の分からないダメ男なんだと思って……こんな私では、リモーネにふさわしくないんじゃないかと……」
つい弱音を吐くと、オルカとリコルドに背中をバシバシ叩かれた。
「あんたはその誠実さがいいんだよ! もっと自信持てよな!」
「そもそもお前のダメなところなんて、小さい頃から一緒にいるリモーネには今更だろうが。リモーネはそんな器の小さい女じゃないだろう?」
二人に励まされ、私は気合を入れ直した。
そうだ、リモーネは私のダメなところなんて全部知っている。それでも今まで傍にいてくれたんだ。リモーネに喜んでもらうためにも、このデートは成功させたい。
今度こそ私は、リモーネに愛を伝えるんだ。




