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メーラ・プロシア嬢。

魔法学園きっての才媛で、金髪碧眼の美少女である。平民でありながら魔力の保有量が並外れており、高度な治癒魔法を使えるということで、特待生としてこの学園に入学してきた。

しっかり者で情に厚く、明るい性格のため貴族平民問わず好かれている。

ちなみに、私とアルジェント様と同じクラスだ。この春に進級して同じクラスになったばかりなので、まだ親しくはできていない。実は私は彼女に対して好印象を抱いていたので、これから仲良くなりたいな~なんて思っていた。


「まさかメーラさんとは……! 納得ですし、アルジェント様のお目が高いのは分かりましたが……これは厄介!」


私がう~むと唸ると、アルジェント様が不安そうに聞いてきた。


「や、厄介? メーラ嬢には何か問題でもあるのか? 彼女は常に人に囲まれているから、私では釣り合わないかと思っていたのだが……」

「問題なんてありませんよ! むしろ、彼女ほどの治癒魔法の使い手ならば、国王だってすんなり婚約を認めてくださるでしょう。っていうか、アルジェント様、自己評価低っ!」


第二王子ともあろうお方が、どうしてここまで地味な性格になったんだろう?

私がジト目で見ていると、居心地が悪くなったのかアルジェント様が仕切り直すように咳払いした。


「で、では、何が厄介なんだ?」


不思議そうに首を捻るアルジェント様に、ため息をつきたくなる。この人、自分の想い人のこと知らな過ぎだわ。


「あのねぇ……彼女、モテモテなんですよ。分かります? 倍率が高いの!」

「何だって!?」

「私が知っているだけでも、軽く10人はいますよ。彼女に本気でアプローチしている方たち」

「……なんてことだ」


がっくりとアルジェント様の肩が落ちる。まあ、自分の好きな人がそれだけ周りに狙われてたら、気が気じゃないでしょうね。


「そんなに落ち込まなくても、彼女はまだ誰ともお付き合いしていないみたいですし。アルジェント様もこれからアプローチしていけばいいじゃないですか」

「……そうは言っても……私は彼女との接点が何も無い」

「同じクラスでしょうが。何を甘えたこと言ってんですか」

「しかし……私は君以外の女性とあまり親しくしたことがないから、どう接すればよいのか分からないんだ……」


しょぼんと落ち込むアルジェント様。そんな弱気でどうすると思ったけど、まあ無理もないか。アルジェント様は第二王子という肩書を持ち、美しい銀髪にアイスブルーの瞳と容姿に恵まれているにも関わらず、性格が……地味というか、保守的というか、つまりお堅いのだ。

黒目黒髪という地味な外見の私からすると羨ましくて仕方ない華やかなお顔で、私はリモーネのような顔に生まれたかったとか言われるから、人生ってままならないなと悲しくなる。


「……作戦会議、しましょうか」

「作戦? 何のだ?」

「……アルジェント様がメーラさんと親しくなるための、作戦会議ですよ」


だって、このままじゃ挨拶しかしないでしょ、あなた。

そう突っ込みたくなったが、なんだか気の毒になってきたので口には出さなかった。


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