24 オルカサイド
リモーネに、ジェラート屋に誘われた。まあ甘い物は嫌いじゃないから別にいいんだが、今回ばかりは胃が痛い。同行者に問題ありだ。
「……初めまして。オルカ・マーレ君。私はアルジェント・オングロード。リモーネの幼馴染だ。どうぞよろしく」
「お、オルカ・マーレです。えー、ご一緒できるなんて、光栄です……」
「私に敬語なんて使わないでくれ。同学年じゃないか。リコルドと仲良くなったと聞いているよ。私にも同じように接してくれると嬉しい。気軽にアルと呼んでくれ」
「え、あ、えっと……分かった。じゃあ俺のことも呼び捨てにしてくれ」
この王子様もだいぶ気安いな。リモーネといい勝負だと思っていたら、キラキラと輝くような笑顔でアルが握手を求めてきた。
えっ!? 力強っ! いやいやいや! 初対面で握る強さじゃないだろ!
……これは、アレだ。完全にライバル認定されている……。
「私はメーラ・プロシア! 確か、オルカさんは私と同じ平民特待生だったよね? 同じ立場の者同士、仲良くしてもらえると嬉しいな」
メーラ嬢とはこれまでクラスも違ったので、言葉を交わすのは初めてだが、その容姿は確かに可憐だった。リモーネが美人系だとするなら、メーラ嬢は可愛い系だ。
「こちらこそ、よろしく。つっても俺は魔法陣の話しかできないような、オタクだけどな」
「あら、私も似たようなものよ。私は治癒魔法のアレンジと開発のことばっかり考えてるもの。あ、それとスイーツのこともね!」
にこっと笑うメーラ嬢に思わず引き込まれた。……確かに、この笑顔は魅力的だ。
ちらりとリモーネを見れば、彼女は緩み切った顔でメーラ嬢を見ていた。
お前、メーラ嬢のこと好き過ぎだろ! 本来なら憎んだり妬んだりするはずの相手に、なにほだされてんだよ……。
「メーラさん! アルジェント様も甘い物は好きなのよ」
「まあ、そうなんですか。ではお二人でよくカフェなどにも行かれるんですか?」
「え? あ、うん。時々ケーキとか食べに行くかな」
「リモーネ様。今度、私ともケーキを食べに行きましょう?」
「うん! もちろん! プリンの専門店にも行かなきゃね!」
うふふと笑い合っている美少女二人は眼福だが、リモーネよ。お前はアルに興味を持たそうとしているが、メーラ嬢はお前にしか興味持ってないぞ……。
自己紹介を済ませると俺たちはジェラート屋へ向かったのだが、ここからがまた問題だった。
「リモーネは何のフレーバーにするんだ?」
「ううぅ~ん。チョコもいいけど、ヘーゼルナッツとピスタチオも捨てがたいし……オレンジやイチゴも美味しそうですねぇ」
「では、私がピスタチオにするから半分こしようか?」
「いいんですか? じゃあ私、イチゴにします!」
おいリモーネ! なにイチャイチャしてるんだ! 無意識なのか!?
お前、完全にアルとデートしてるぞ!? 目的を忘れたのか!?
「リモーネ様! 私はオレンジにしますから、私ともシェアしましょう?」
「わあ嬉しい! ありがとうメーラさん!」
って、メーラ嬢もか! ……何だこれ。リモーネのハーレム状態じゃないか。
キャッキャと楽しそうにする三人についていけない……。
「オルカは何にするの?」
「俺はティラミス」
「あ~ティラミスもいいよねぇ!」
「……やらねぇぞ」
「人をたかり屋みたいに言わないでよ。私はそんな強欲じゃありません!」
そう言っていたリモーネだが、結局俺のジェラートをじっと見つめてくるから、仕方なく一口やった。
たかり屋じゃなくて、物乞いか?




