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第十二話:未来は、私が撃つ

 美秀とクロノスの戦いは、限界を超えていた。

 時間の狭間の空間が歪み、時間がねじれる。

 二人の能力が対消滅を起こし、周囲のすべてを巻き込みかけていた。

 空間の歪みが限界を迎える。

 クロノスは美秀のゴールドメイデンの銃口をまっすぐ見据えていた。


「やめろ、ゴールドメイデン。

そんなことで……運命は変わらない」


 どこかで、クロノスの声には揺らぎがあった。

 本当にそうだと言い切れるのか。

 自分でもわからなかった。

 だが、美秀は震えながらも、強く言い返す。


「違う。

私はもう、誰にも決めさせない。

運命も、過去も、私が撃ち抜く!」


 その瞬間だった。

 クロノスの心に、かつて抱いたはずの感情が微かに蘇る。


「……自分の意志、か」


 クロノスは目を伏せる。


(そんなものは、意味がないはずだった。

私の能力は時間を巻き戻し、正しい未来を確定させること。

何度だって、間違った未来を潰してきた。

人の意志なんて脆い。

どんな覚悟も、願いも、巻き戻せばすぐに消える。

そう信じてきた……)


 だが、目の前の少女は違った。

 震えながら、それでも銃を握り、まっすぐ自分を撃とうとしている。

 何度巻き戻しても、あの瞳だけは変わらなかった......。

 クロノスの胸の奥で、知らぬ間に何かが音を立てて崩れていった。


(そうか……この子は……違う)

「私は......。

ゴールドメイデン、いや、早乙女美秀。

お前を完成させるための存在だったというわけか......」


 クロノスはふっと笑った。


「だが……完成するべきは運命のパーツとしてじゃない。

自分の未来を選ぶ存在として、か」


 もう、クロノスは巻き戻そうとしなかった。

 ただ、美秀の強い瞳を見ていた。


(こんな未来があるなら。

私は、それを見たかったんだ)

「撃てゴールドメイデン。

いや、早乙女美秀」


 クロノスの声は、今までで一番優しかった。


「お前の未来を、俺に見せろ」

「クロノス……!!」


 黄金の銃が輝き、迷いのない一撃が未来ごと放たれる。

 クロノスはその弾丸を正面から受け止め、微笑んだ。


「悪くない......未来だ......」


 そう呟くと、クロノスは光の粒となり、静かに時の海へと還っていった。



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