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第十話:二度目の戦場

 美秀とクロノスの戦いは、時の狭間で続いていた。

 その空間は他の者には干渉できない絶対領域。

 その外の空間では正一、沙羅、そしてDr.エヴァルスが向かい合っていた。


「ゴールドメイデンの記憶がトリガーとなって、クロノスと干渉し、真の能力を解放させたのか。

願ったり叶ったりの展開だな。

あとはクロノスがゴールドメイデンを取り込むだけだ。

僕の計算どおりだよ」

「何をブツブツと言ってやがる」


 正一は銃口を向ける。

 すでに周囲の迎撃部隊は正一によって壊滅していた。


「まだ君が戦う相手は残っているよ」


 その言葉と同時に、背後から雷撃が走った。

 正一は殺気を感じ取り、ギリギリで跳び退る。


「ついに来たな、SDスペシャルディテクティブ


 エヴァルスの背後から姿を現したのは、ヴォルティアとゴーストライン。

 かつて倒したはずの二人だった。

 正一が目を細める。

 ヴォルティアの双眸は憎悪に染まっていた。


「エヴァルスの実験で、私は生かされた……あんたを殺すためにな!」


 ヴォルティアと呼ばれた少女の瞳は憎悪に染まっている。

 掌からはすでに青白い電流がほとばしり、床を焦がした。

 隣には、相変わらず表情の読めないゴーストラインが佇む。


「いいか、ゴーストライン。

どっちが殺ってもいい......絶対、アイツをぶっ殺す!」


 ヴォルティアが叫ぶや否や、ゴーストラインが消えた。

 一撃必殺の高速奇襲。

 しかし、既にレイヴンズサイトが発動していた。

 わずかに身を傾けた正一の肩先を、ゴーストラインの拳が空を切った。


「......その未来は視えていたぜ」


 直後、ヴォルティアが叫んだ。


「消し飛べぇッ!!」

「遅ぇよ」


 正一は影のように跳び、雷撃の一歩外側へ滑り込む。

 雷光の一歩外を抜けるその動きに、ヴォルティアの目が見開かれる。


「なっ……!?」


 正一はレイヴンズサイトで、攻撃の軌道すべてを読んでいた。


「今だ」


 正一は、わざと一瞬の隙を作った。

 誘われるように、ヴォルティアとゴーストライン、二人の攻撃が同時に飛び込んでくる。

 だが、それが狙いだった。


「決まったな」


 正一は一歩踏み込み、ヴォルティアの腕を掴む。


「離せっ!」


 その瞬間、ヴォルティアが放った雷撃が、予定より早くゴーストラインの軌道上で弾けた。


「......ッ!?」


 ゴーストラインの姿が、雷撃の中に呑まれる。

 ヴォルティアが絶叫した。


「ゴーストライン!?

うそ、なんで......!?」

「……その未来は読んでいたぜ」


 正一はヴォルティアの頭に銃口を押し当てる。

 少女の顔が恐怖に染まる。

 しかし、銃声は鳴らなかった。

 だが、ヴォルティアの体から電撃は消え、崩れるようにその場に座り込む。

 正一は冷静に呟いた。


「……甘ぇんだよ」


 ゴーストラインは沈黙したまま雷の残骸の中で動かない。

 ヴォルティアは唇を噛み、涙を浮かべた。


「なんで……なんで、こんな……っ」


 正一はヴォルティアをじっと見つめる。


「もう、お前に構ってる暇はねぇ。

とっとと失せろ」


 ヴォルティアはその場から泣きながら去っていった。

 正一は銃を構えた。


「次はてめぇだ」


 エヴァルスは肩をすくめる。


「まったく役に立たなかったな。

だが、それも計算のうちだ」


 そのまま、制御パネルに手を伸ばした。


「……!」


 沙羅が叫ぶ。


「レイヴン!

奴、何かを起動しようとしてる!」


 正一は迷わず引き金を引いた。

 だが、その弾丸は空を切った。

 エヴァルスの身体が、瞬間移動するように一瞬で別の場所へと移動していた。


「なっ……!」


 エヴァルスは薄く笑った。


「言っただろう?

私には計算済みだと」


 彼の周囲には、歪んだ時間の流れが発生していた。

「見せてあげよう僕のカースド。

カオスプロトコルを!」


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