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第十一話:それから
雨氷の国のキウは溶け、国のあちこちに湖と緑の森をつくりました。
森は銀の翼をもつ鳥たちが飛び交い、彼らのよい寝床になっています。
リルは、十八になりました。
背丈も手足も伸びに伸びて、力も強くなりました。森から木を伐り出して、細工を作って暮らしています。
リルは、キウ守ではなくなりました。
相棒のズゥも、いなくなってしまいました。
空を見上げてズゥの眷属らを眺めては、ぼんやりとため息をついています。
「なんて、虚しい人なんだろう」
そんなふうに、周囲の人々は言います。
でも、皆は知らないだけなのです。
森に雨が降りだすと、リルがこっそり姿を消すことを。
そしてそのとき森の奥からは、誰かの笑い声と風を切る翼の音、キウのさえずりが響いてくるのです。
完




