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I、ゲーム開始

"あなたの幻月くんを起動します"


アプリを押すと出てきた画面とファンタジックな音楽。ここでゲーム好きならテンションが上がるのだろうが、いかんせん私はゲーム好きではない。


起動するまで何%との表示を見ながら、はあっとため息をついた。ゲームって目が疲れるんだよねえ。


そうして、起動完了後にスタート画面に到着する。しばらく疲れる生活だなあと思いながらスタートボタンを押すと、


「わっ!!なんか画面が光った!」


画面が目を開けられないくらいに眩しく光ったと思ったら、そこに現れたのは西洋のお城の中の一室…。そう、豪華な装飾物で溢れかえった品の良い部屋であった。室内はどうやら無人らしく、積み上がった書類を見るにどうやら執務室のようだ。


「へー。最近のゲームってここまでリアルなんだ〜」


と思わず感心してしまった。周りを見渡すことが出来るようで、周囲を見てみるとここは最上位の者が使用する部屋のようであった。ということはここは幻月くんの部屋のようである。


(そういえば、立花が言っていたっけ?幻月くんは時間によっては王様業の都合上画面に出てこないこともあるって)


友人の「あの性格で実は王様業しっかりやってます!ってところがさらにポイントが高い!」って。


とりあえず場所移動してみるかと扉に向かおうとするが、扉の外から何やら話し声がする。戻ってきたのかと思い待機してみると、案の定扉が開かれる。


そして扉から出てきた人物を見て思わず口を開けてしまう。


(いや、めちゃくちゃ美形!!)


スラっとした長身とスタイルに程良い筋肉、跳ねた癖っ毛の金髪とそれを纏める長い三つ編みされた日本の金髪に左目の下にある黒子も色気をさらに増やしている。冷たさの残るオッドアイの瞳は彼の魅力を更に引き立たせている。声も耳に心地が良いテノール。年齢は20代後半くらいだろうか?完璧という言葉はこの人の為にあると言ったようなものだ。


私が口を開けたまま茫然と見ていると、幻月くんは側近のこれまたイケメンで有能そうな水色の髪をした少し幼さを残した様な顔をした男の人と話しながら執務室に入ってきた。


形の良い唇が言葉を紡いだと思ったら、

「…あのクソジジイ共を一瞬で黙らせる方法を知っているか?」と側近に問いかけた。


側近の男が「何でしょうか」と慣れた様に主君に聞き返すと、幻月くんは非常に悪い顔をして、首を指で横に引く仕草をした。


「いえ、駄目ですから。後始末が面倒なので最終手段でお願いします」


(いや、そこはやってはいけませんていわないのかい!!)


どうやら側近も主君に似て物騒な様だ。


幻月くんは、はあっと小さく溜息を吐いて、何事かをぼそっと呟くと、「お前はもう下がって良い」と命じて側近を下がらせた。退去の挨拶をした側近は静かに扉を閉めていく。


それを横目で見た幻月くんは豪華な装飾の椅子に座り、書類の山を片付け始めた。真剣そうな、でも怠そうな表情をする幻月くんに、(これは立花がのめり込むわけだわ)と感じた。


「…お疲れ様です」


思わずぼそっと呟くと、幻月くんの手が突然ピタッと止まる。


そうして勢いよくこちらに視線を向けてきたと思ったら、まるでネッシーを見たかの様な驚愕した目を向けてきたのである。


「えっ、どうしたんだろう。私何にも入力してないよね」


何かあったのかなと周りを見渡すが何もない。幻月くんは微動だにせずこちらを凝視したまま。


そのまましばらくこの時間が続くかと思われたが、動き出したのは幻月くんの方であった。


「……どうして、ここに」


「わっ!しゃべってくれた!返信返さないと!」


と入力ボタンを押して喋ろうとするが可笑しい。ボタンがない。


「あれ?バグ?「バグではありませんよ」


「うわあ!びっくりした!近い!」


いつの間にか近づいてきていた幻月くんに驚いた声を上げてしまった。恥ずかしー!


でもボタン入力無しでも話すことが出来ている?もしかしたら制作者が取っ払ったのかも。まあ話せているしそう思うことにしようと楽観的に考えることにした。


そんな私の様子をじーっと不思議そうに、でも瞳の奥からは何故か愛しさが垣間見えたようなそんな視線を感じる。


「…やっとですか。随分探しましたよ」


「えっ?」


幻月くんは目を伏せた次の瞬間、絶世の美貌を持つ彼が美しく微笑んだ。立花の情報だと笑わないらしいのに!美形の笑顔に心臓が高鳴ってしまったのは無理はない。そんな私の様子が伝わったのか、益々笑みを深める幻月くんであった。


「くだらない奴らと話すのはもう終わりですね」


怠そうに話す彼の、話している内容はよく知らないが、清々したというような声音であった。余程嫌だったらしい。


「えーと、幻月くんが喋っている。…?確か立花情報によると殆ど喋らなくて絶対零度の視線を向けてくるって話らしいけど」


?が沢山頭の上を飛び交っている私に幻月くんはぷっと吹き出した。私の様子が面白かったらしい。


「それは当たり前ですよ。ゴ、いえ、貴女以外の方と話したくないので」


何かを言いかけていた彼に、そういえば基本的に冷たい態度を取るクールキャラって言ってたなあ。


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