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弟妹に会うよ

■本作は主エピソードのみでサクサク進んでいきます。サブエピどころか説明や描写すらはしょっています。読者様方の脳内補正だよりの作品となっていますのでよろしくです

■完結済みの作品ですので一日二回の投稿でひと月くらいで上げ終わる予定です。これまでの作品がろくに完結してないからね・・・完結させてから上げるのっていいよね


噴水は相変わらず混んでいた。

なので農作業小屋の近くでみつけた井戸を勝手に使わせてもらうことにした。


「うーん、水面が見えない。お金を投げ入れればいいなら楽なんだけど」


井戸にはロープが張ってあるのでこれで下ればいいのだろう。私はロープをつかんで下を見た。


「あ」


私は溺死した





※STRにペナルティーを受けました

※300G落としました

「なるほど。そういや井戸って水をくみ上げるんだったわ。現代人には難解なつくりだ」


左右のロープは上で一本につながっていて、片方を上げれば片方が下がるらしく、私がつかんだ紐は下がる余地が残されていた。それにいきなり体重をかけたがためにわたしは真っ逆さまに落ちたのだ。

まぁこういうこともある。日常には常に危険が潜んでいるものだ。


「そういやデスペナってなんだろう。どこ見ればいいんだ」


いろいろとUIをいじって確認していく。あぁ、一番下のシステムログってとこだな。

ステータスの一部が下がり、お金を落としたらしい。


「300でかくない?あと400しかないぞ?」


まいいかと再び井戸へ。賢いお姉ちゃんは付属の桶で水を汲むのであった。


「お、なんか出た。はじめまして?そいやこれがこのゲームの初NPCか。村人会話じゃないってめずらしー」


井戸の精霊というのがいろいろ教えてくれる。祝福によって与えられた小さな軌跡を変更できるらしい。

意思の疎通のできる精霊っていいね!うちのやつはろくにしゃべりゃしない。

変更できるというので変えてもらおう!弓返却で君が欲しいよ!

全力で篭絡していく。

あまり世間慣れしてないらしくわたしの言葉に素直に反応を返してくれる精霊さん。なにこれかわいい。妹の小さい頃を思い出す。最近奴は姉を転がすすべを身に着けてしまってにくたらしい。でもかわいいので転がされちゃうコロンコロン


精霊はほんのりうれしそうにしながら私の手をとって小さく頷いた。


ん?、適合処理をする?近似値検索?なんだろうね、わからないけどわたしは今幸せで胸いっぱいだよ。


精霊はこんな子だ。

端の方が白く泡立つシャボンダマのような感じで、中が紺色の水流がゆっくり下に流れているような感じ。まるで夜の海のようなドレスを着た、おとなしめの女の子だ。



«転移の精霊»

ーー rank D

一度行ったポータルに移動できる

人々の願いによって生まれた精霊



あれ、井戸の精霊じゃないんだけど・・・ユーザー所持のできるものから近いのが選ばれたの?移動の精霊なので転移?


どうやら井戸の精霊を仲間にしても何もプレイヤーに寄与しないらしく、それはダメなのだそうだ。それで代わりに近い物から選んだと。

井戸→移動

ってなった。なるのか?また翻訳がやらかしたっぽい。大丈夫かこのゲーム。


「え、名前を付けれる?付けてください?いいけど。うーん」


うちの子になった転移の精霊ちゃんに名前がつけれるというのだ。と言うことはもしかすると弓の精霊にも付けられたのかもしれない。すまない弓の精霊、君のことは忘れないよ。


「テレポ・・・ワープ・・・テレ、てんてん・・・」


流石にてんてんは嫌ならしく、泣きそうになっていたかわいい。

しかしうちの家系はひねった名づけが苦手。転移の精霊もきっとインテとかになる確信がある。

インテどうかな?いや?うーん


「ん?、なるほど。それじゃそれで。よろしくね”レテ”」


テレポのテレを逆にして『レテ』だ。水に係わる単語なのでお似合いかもしれない。忘却の川の名前だけどね!




次の日です。

今日はちょっと早めにインして弟妹たちとの顔合わせの約束がある。

ログインすると画面端に受信メールのアイコンが出ていた。


「ほーん。お詫びメールとな」


どうやら本来できない行動をしてしまい攻撃手段を喪失したプレイヤーがいるそうな。そういった不遇なプレイヤーに詫びメールとともに詫びチケを配っているのだそうだ。

・・・・・・

わたしのことだな!


チケットは『精霊取得チケット(微)』となっていた。

そうだね。弓装備なのに弓精霊いなくなっちゃったしね。弓がなきゃ何で戦えってのかわかんないもんね。

というわけでテレッテ~使います。



«精霊盾»

防御力8 rank E

低級精霊の盾



おいこら。何で戦えってんだ。こぶしか?ぶっとばすぞ

まぁないよりはいい。

呼び出してみると丸い円形の盾に羽らしき突起が左右上向きについている丸盾がわたしの目の前に浮かんでいた。

大きめのお皿と同程度のサイズだ。盾というよりもフリスビー。


「レテレテー、この子が新しい精霊なんだけど、どうかな?仲良くできる?」


わたしは転移精霊のレテを呼び出して盾精霊に会わせてみた。

レテはうれしそうにしている。盾もなんとなくうれしそうだ。

精霊同士は仲がいいのかもしれない。

レテが教えてくれることによると、この手の武具精霊は魔術に対してはそのままの補正が乗るそうだ。盾で言えば魔法防御+8だ。

ただ、物理に対しては半分しか効果が出ない。物理防御+4なのだ。


なるほど、精霊弓で石の矢を使ってもダメージが出なかったのはそういうことか。魔術矢になら攻撃力の6がそのまま乗るが、石の矢では半分の3しか乗っていなかったわけだ。


魔術が防げる盾というのもモノとしては面白い。よろしくとあいさつして早速名前を付けることにした。あ、レテは還したよ。MP消費しちゃうからね。


«精霊盾 シール»

防御力8 rank E

低級精霊の盾


盾のシールです。よしなに。

シールの出現位置は正面のまま変えないことにした。出現させた後は手に持って動かせるのであまり問題ないだろう。

敵の魔術を正面で受けるのってかっこよくない?困る場面があるまではこれで行こうと思う。




弟妹たちとの合流はカイナ町南地区の雑多なお店通りの一つだ。

なんちゃら亭と看板を出している店の前に、すでに二人そろって待っていた。


「姉ちゃんっ」

「シィ姉っ!」

「クロ、みぃ。久しぶりー」


現実では2県ほど離れているがこうしてゲームでなら毎日顔を会わせることもできる。

飛び込んでくる自分より背の高いみぃのアバターを抱き留め、クロには頭をなでてやる。

二人とも背が高いなぁ。


「シィ姉が低いんだよ。種族何だ?年齢いくつにしたんだよ」

「ハーフエルフで15歳だぞ。かわいかろ?」

「かわいー!」


みぃはかわいいなぁ。クロは相変わらず黒い装備が好きらしく今のアバターも黒でそろえている。まだまだ中学二年生は卒業できていないらしい。

みぃは人族だけど褐色肌の踊り子、クロはハーフ魔族の魔法剣士にしたらしい。どちらも17歳設定なのだとか。


「みぃはちょっと背伸びしたか」

「姉ちゃんはなんで15歳?だいぶ下げたな」


そこはほれ。一人だけ20代って嫌だし。悲しいし。若くいたいし。


「あんま変わんないだろ・・・」


ぺっ、10代の意見だね!さっさとふけちまえ!

どうでもいい話をしながら店に入って食事を注文する。なお、お金がないことがわかったわたしは全力で弟に集ることに決めた。

後で冒険者組合で登録して働いてかえせと言われるが不本意である。現実とは真逆の構図だ。

精霊弓も心配されたのでわたしの新しい精霊たちを紹介することにした。


「こっちが転移精霊のレテちゃん。こっちは盾精霊のシールちゃん」

「かわいー!なにこれかわいー!」


喜ぶ妹とは対照的に、クロウドは黙り込んで眉根をしかめていた。


「どしたん?」

「・・・いや、今日の不具合修正の理由がわかった。姉ちゃんのせいか」


何もしてないんだけどね。と言うときっと”精霊の友”というスキルの効果で本来仲間にできない精霊が仲間にできてしまったのだろうということだった。

でも自分ひとりが持っているスキルでもないだろう。

自分以外にもそういった失敗を起こすプレイヤーはいたと思う。詫びメールの文面も複数人を対象にした文面だったし。


「でも«転移の精霊»ね。そんなのは初めて聞いたぞ」


始まったばかりのゲームで聞いたことないとか言われても、こいつは何を言っているんだとしか思わない。姉ちゃんは心配です。もっと世間でもまれてきてほしいな。


弟妹たちと近況の話をし、食事をし、最低限やることだけアドバイスをもらってその日は解散することになった。

冒険者ギルドと低下したステータスの解除ね。オケオケ。あとで行っておこう。


「そういや姉ちゃん。金は拾いなおしたのか?」

「金?拾いなおす?」

「死んでから一日以内なら、死んだ場所に金とアイテムを回収にいけるんだよ。あと自分の肉も落ちてるから食費もうかせられるぞ」


猟奇的な話はいらない。たまにフッとクソゲー臭を混ぜてくるねこのゲーム。

しかしお金か。それはぜひとも取り返したいものだ。

昨日死んでからまだ一日たっていない。なので急いで周れば全額回収できるかもしれない。




「この辺りだな・・・お、ウサギ」


ウサギは殴って仕留める。盾精霊のおかげで昨日よりも危なげな場面が少なくなった。ただ昨日より与えるダメージが下がっていたのはあれか。デスペナで攻撃力が下がってるからか。

後でお祓いしてもらお。切実な問題である。


一つだけだがお金と自分の肉は割とすぐに見つけられた。他のプレイヤーが見つけて持って行ってしまうこともあるので見つけられたのは行幸だった。


※100G

※シィリエの肉


うん。わたしの肉だ。ウサギ肉と同じ形状で落ちている。


「肉が落ちたなら体重も減ったはず・・・」


なぜこの世界はゲームなのだ。ちくしょう。

太ってはいないけどね!維持するのにも労力がかかるのだ。


さてお金はもう一か所落ちている。そこは見つけにくい場所なので拾う人もいないだろう。


無駄にレテのスキルで町に戻ってから昨日の井戸にやってくる。レテのスキルだとログインしたときみたいに町の中央に出現してしまうようだ。

井戸の辺りは相変わらず人がいない。わたしは井戸をのぞき込み目をこらす。


「あ・・・」


井戸の中には精霊がいた。

青から緑に光る、きれな精霊だ。


弓の精霊


うん。昨日置いて行ったままだったわ。そうだよね、井戸の精霊と入れ替わりで置いて行ったんだから、ここにいるよね。

なんだかとても気まずい空気を感じている。わたしがしたことなのに居たたまれない。

謝ろう。いい大人として自分の否を認めることは大切である。


「そこな弓の精霊さん。ごめんなさい。もう二度とあなたを置いてくようなことはしないから、上がってきてくれないかな?」


ふよよと井戸から上がってくる精霊さん。

ゴメンネ、いいってことよと懐の広いところを見せてくれる元相棒に、再びわたしたちの手が合わさった。

うん。やっぱり相棒はこの子だわ。わたしの一番初めの精霊。

不遇だろうとハズレだろうと言いたい奴には言わせておけばいいよね。

いろんなところ、見たことない場所に、わたしといっしょに旅しよう。



«精霊弓 ユエ»

攻撃力6 rank E

低級精霊の弓



この子の名前はちょっと前から決めていた。

月の名前。

私の二つ名にもある天上の月。そこにいる神様は弓を引く美しい女神様なのだそうだ。

月齢によっては月を弓に見立てることもあるからね。上弦、下弦、弓張り月。


とりあえずこれで遠距離攻撃手段と盾を手に入れた。近距離では殴ればいいだろう。殴りさいっきょ


ひとまずは弟に言われたデスペナ解除に行ってみることにした。神殿でお布施だっけ?神社でお祓いでもいいらしい。お金もあるのでできるだろう。


「祝福は500Gになります」


・・・手持ちが300Gになってしまった。しかしSTRが倍になったのでめっちゃ下がってたようだ。これでウサギにも攻撃が通るはずである。


さて、お金を稼ぐには生産スキルでモノを作って売るか、冒険者ギルドで依頼を受けて報酬を得るかである。

もちろん冒険者ギルドへ。

ギルドは混んでいる。主にゲーム開始したばかりのプレイヤーたちによって。うぅ、人混みが出勤時のトラウマを刺激するよぴえん

満員電車は悪い文化。


並んでようやく冒険者登録をしてもらうと初心者は戦闘講習を受けなければいけないらしい。外の空き地に行くように言われる。受け終わるとスキルがもらえると言うので受けに行く。

スキル名は『解体』。モンスターからのドロップが増えるらしい。肉しか出ないのは解体を覚えてないからか納得。


たくさんの新人に交じって講習を受ける。いやーみんなまごついてて初々しいね。戦闘経験者のお姉さんはここでいろいろ試しちゃおうかな。精霊の使い方もわかってないし。


よーし わたしは死んだ



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