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サラマンダーと商人


ログインしましたおはよう。

今日もメイドさんにお世話してもらうシィリエです。あーだめだめ、だめだダメ人間になってゆく~


「お、何か告知メールが来てる。またイベントかな?」


三回目のイベントだね。うーん、でも今回はあんまりわたしとは関係ないかなぁ

今回はこんなイベントだった。



※イベント【あなたのハートにお届け物です】開催のお知らせ

全エリアにおいて好感度上昇イベントを開催します。

気になるあのNP()Cに花束を!


★イベント期間 ・・・

★イベント効果 ・・・



NPCへの好感度が上がりやすくなる。それに好感度イベントが起きやすくなるって。


でもすでにお孫さんの好感度はMaxな感じなんだよね。

今日も鋼鉄装備くれるし。

攻撃力+13の鋼の弓を攻撃力+6のユエに食べさせながらサラマンダーのことを考える。


サラマンダーはダメだな。今のわたしじゃ倒す方法が思い浮かばない。効果のあるスキルもあるけどあくまで短時間だけ。サラマンダーのHPを削り切れるまで効果的な戦法ではない。

さすがに亜竜と呼ばれるだけあって図体がでかい、HPが多いのだ。

数回隠れられても焼け石に水だ。目くらましは何回かに一回は成功するが、相次ぐ死に戻りでアイテムを失ってしまった。サラマンダーと戦う時はアイテム全部置いて素のままで挑むのがいい。


「うーん、どうしようかな」


あきらめるのも手だ。今はまだ無理なだけで、将来的には倒せそうな感じがしている。

もう少し弓を強化できて、もう数発ブレスを耐えることができれば・・・。


わたしは窓の外を見る。朝だというのに今日は少し暗い。

窓を伝う水滴が景色を少し見えづらくしていた。


「雨か。・・・行ってみるか」


今日はサラマンダーの調子も悪いかもしれない。悪くあれと祈りながら支度を始めた。




※PERにペナルティーを受けました

※0G落としました

「だめじゃん!変わってないじゃん!」


雨だからとサラマンダーの動きに変わりはなかった。冬の雨ならいざ知らず、6月の雨では何の期待もできないようだ。


※DEXにペナルティーを受けました

※0G落としました

「むしろ服がまとわりつくから」


※STRにペナルティーを受けました

※0G落としました

「動きにくくなる・・・!」


昨日の二の舞である。

あと一回行ったら今日はもういいかな。雨でびっちょりしてるしお風呂入りたいし。

戻ったらセルティナにお金もらってデスペナ解除もしてこよう・・・。




「ひいぃぃぃっ、た、助けてくれぇ!」


がけ下に馬車が落ちてるね。雨で地盤が緩んでたのかな?

見ればサラマンダーの2体が馬車に興味をもったらしく群れから離れているのが見える。

始めの感想が「やった!囮がいる!」だった。いいよね復活するし。わたしもこの世界に毒されてきたらしい。


馬車に近い一体を攻撃して私に注意を向かせる。もう一体は馬車に乗ってた人たちにまかせたい。

幸い逃げ出そうとした馬が興味を引いてしまったらしく馬車の人たちは馬を放って追いかけさせようとしていた。


「『隠れる』」


ついでにわたしもそれに便乗する。

わたしに怒りを見せていたサラマンダーも、わたしを見失えば自分の足元を走っていく馬にヘイトを向かわせる。

やったアホめ!これは今までのお礼だ!


放った矢は右目に刺さった。

そのままサラマンダーの右側から矢を撃ち続けていく。

ここで間違っても両目を狙ってはダメだ。目が見えなくなるとブレスを四方八方に放つ暴走っぷりを見せることになる。ブレスを極力放たせてはいけない。かすっただけで1デッドだ。


サラマンダーの片目を奪ったらその目の方に回り込みながら攻撃を続ける。

するとそのうちしっぽを振り回してくる。これがなかなかやっかいで、近くの岩や木をへし折ってそれごと辺りを薙ぎ払うのだ。


距離を取って岩陰に逃げ込む。そしてすぐに姿を現す。そうしないと隠れた岩ごとブレスで狙われるからね。

急いで見えない目の方に回り込んで攻撃を続ける。しっぽの振り回しの時に隠れられる場所があるか、運だのみな戦い方になる。


「フリーズアロー!」


馬車から援護射撃が放たれる。

もう一匹のサラマンダーは馬を追いかけて明後日の方へ行ってしまっていた。アホで良かったが、おそらく馬がやられると次はわたしたちを狙ってくると思うので気が気ではない。


冒険者?が放った氷の矢はサラマンダーの右前足に当たると当たった部分の周囲を凍り付かせる。

動きが鈍い。

いいなー氷か。水よりもサラマンダーに効果的な魔術らしい。

今までよりも余裕をもって攻撃、回避が行える。



※サラマンダーを倒しました

※火蜥蜴の肉

※火蜥蜴の牙

※火蜥蜴の鱗

※火蜥蜴の皮

※火蜥蜴の骨

※火の宝玉(小)

※火の精霊石(小)



お?倒せたっぽい。システムログが流れたってことはもう一匹は戦闘範囲外に行っちゃったってことだな。よし、もう一匹呼んでこよう!

氷の魔術使いがいるうちに倒さないとね♪



※サラマンダーを倒しました

※火蜥蜴の肉

※火蜥蜴の牙

※火蜥蜴の皮

※火蜥蜴の骨

※火蜥蜴の角

※火の宝玉(小)

※火の精霊石(小)



ドロップはちょっと違うかな。精霊石ってのが気になるけれど、そういえばサラマンダーって火の精霊としてゲーム界隈では有名だね。なので精霊として連れまわせるってことかな?とうとう属性精霊が仲間になるよ!やったねユエちゃん!


「た、助かりました。サラマンダーをおひとりで倒すなど、高名な冒険者の方でしょうか?”銀色の月”?聞き覚えがあるような」


冒険者だけど高名なのかな?。

そもそも冒険者登録はしたけど冒険者の仕事なんて一回もしたことないぞ。初心者講習の途中にぬっ殺されたからね!

クソエルフ許すまじ。三回殺されて二回殺してお縄にしたが、あと一回は仕返ししていいような気がする。いつか見つけたらやっておこう。




さて、崖から転落していたのは隣国から商売に来ていた商人のポポロさん。そして護衛の冒険者さんたちである。

なるほど崖上をそのまま進むと国境があり、国境を抜けると”帝国”と呼ばれる国があるそうな。

いいね、帝国の方が強い武器防具を売ってるらしいので買いに行きたい。

けどまぁサラマンダーの皮が手に入ったので急ぐこともないかな。


馬車に積んであったアイテムをわたしのアイテム欄に入れてあげてデナントに戻ってきた。

冒険者はみんなアイテム欄があるのかと思ってたけど違うらしい。異世界人だけかな?


「助かりました。それに荷物まで。もしこの商取引が失敗していたら多大な違約金が発生して店が傾いていましたよ。あなたはわたしのヘカトール神ですな。ぜひともお礼がしたいのでなんでも言ってくだされ。おお、なるほどシシャナク伯爵様のご客人でしたか」


お礼!弓と盾と杖が好きです!あと今なら精霊に関するアイテムも大好きです!


「ぜひとも見繕いましょう。しかし精霊に関するアイテムですか。ふうむ、本拠地に戻ればいくつかあるのですが・・・時間がかかっても良いのなら差し上げましょう」


ぜひともお願いしたい。


「ポポロさん、本拠地ってもしかして帝国にあったりする?」

「はい。帝都エルンステラに本店がありますぞ」

「おー・・・行ってみたいなぁ」

「おお、参りますか?このあとシシャナクで商品を購入したのちに、また帝国に戻りますが・・・よろしければいっしょに来ませんかな?」

「いくーっ」


そしてとんとん拍子に話が進む。

冒険者なので護衛ということにしてこれまでいっしょにいた冒険者さんたちと合同でポポロ商隊を護衛することになった。


初めてのクエスト受注。ドキドキ。

デナントの冒険者ギルドは普通でした。ギルド職員さんに教えてもらいながら受注をした。

ついてきて教えてくれたのはあの氷の魔術で援護してくれた魔術師さんのいる冒険者たちだ。

パーティー名『波動の白猫』盾戦士のおっさんと剣士のあんちゃん、魔術師のあんちゃんと魔術師のお姉さんの4人パーティーだ。


わたしは帝国に行ってくると言うと泣いて取りすがってくるセルティナさんを優しく抱きしめる。ついでにメイドさんたちに抱きしめられる。


「大丈夫、そのうちまた顔をみせに来るよ。伯爵さんのことも気になるからね」


駄々っ子をおとなしくさせるのは得意なのだ。長年長女をやっていない。

「絶対ですからね!」と指切り約束までさせられてメイドたちにもお見送りされながらポポロ商隊の護衛任務につく。


氷の魔術を使えるのは魔術師のお姉さんだ。なのでどんな風に使うのかとか聞いてみるとなるほど、スキル取得の選択に『氷魔術』が現れている。ポイントは2ポイントだ。

サラマンダー戦でレベルが1つ上がっているのであともう1レベル上げれば取れるのだが、ここ、”竜の爪痕”マップは崖上のルートを通るかぎりモンスターとはエンカウントしない。なのでレベルアップはしばらく先になるだろう。


入手したサラマンダーの皮を加工して自分の衣装を作っていく。

使わなさそうな牙や鱗や角はポポロさんに買い取ってもらった。骨は肋骨の所を加工すれば弓にできそうだったのでまだ取ってある。肉はデナントの町の肉屋に売ってきた。そして自分用に安いイノシシ肉を買ってある。

味しか違わないのだから安いのでいいのだ。一人暮らししているとそういった節約術が身についてしまう。生活臭?違う節約術です。


使い方がわからないのは宝玉と精霊石だ。


「宝玉は宝石類と同じよ。彫金師や鍛冶屋にお願いしてアミュレットに加工してもらえば装備品になるわよ」


女魔術師のフィオレさんが見せてくれたのは腕に着けたブレスレットだ。輪っか状の3か所に青と緑の宝石がはまっている。



≪氷風のブレスレット≫

魔法攻撃力+4 氷属性攻撃力+5 風属性攻撃力+2 耐久力150/150

銀のブレスレット

氷と風の宝玉がはめられている。



おお。こういうのはいいなぁ。

わたしも後で作ってもらお。

精霊石は精霊に食べさせると武器と同じで精霊が育つらしい。

もしくはいくつか集めてサラマンダーと契約するための召喚石にもなるのだとか。ただしこれもサラマンダーとの相性があるので確実ではないらしい。

こうした召喚石になるアイテムを落とす魔物は特定の地域にしかいないそうだ。


カイナ町をずっと東に行った海に棲むウンディーネ


レーウェン聖国の南の火山に棲むノーム


カラッカラン砂漠のどこかにいるシルフ


精霊と契約したい者たちはそうした場所で採れる宝玉を買い集めて呼び出すらしい。

わたしはどうしよう。

火の精霊石が二個あるが、サラマンダーを呼び出せるようになるまで貯めておこうか。精霊と契約するには精霊との相性が大事らしいのだけど、私には『精霊の友』があるのでたぶん行けるだろう。

エルフじゃなくても効果あるよね?あるといいな。


国境を越える。

こっちの国、ロンメルシア王国側とナザール帝国側の二回の身元確認を受けた。

しかも入国にはお金がかかるらしい。許可書のあるポポロさんと波動の白猫さんたちは無料で、わたしだけがかかる。

ポポロさんが払ってくれると言ってくれたが自分で払おう。サラマンダー素材のおかげでちょっとした小金持ちなのだ。


縫物をしつつ氷や魔術のことを教えてもらっていたらいつの間にか『氷魔術』の必要ポイントが1ポイントになっていた。はーん。

魔術の理解によって必要ポイントが下がるんだな?

ならもっと理解したらどうなるのだろう。

わたしはフィオレさんに頼んで氷の魔術の講習をしてもらった。代金代わりとして火蜥蜴の皮で彼女のマントを作ってあげた。

わたし用にも余った皮でマントを作っておこう。



名前 シィリエ «銀色の月»

種族 ハーフエルフ

職業 狩人

年齢 15


・スキル

弓Lv8 貫通矢 一発必中

弓精霊Lv8 クイック

盾精霊Lv5 シェル

杖精霊Lv3

火魔術Lv5 火矢 火炎弾

水魔術Lv7 水矢 水球

氷魔術Lv1 氷矢

光魔術Lv1 光矢


・スキル

裁縫Lv7 連縫

木工Lv7 線切り


・スキル

遠矢 野駆け 俊足 忍び歩き 回避 解体 目くらまし 集中

鷹の目 隠れる 魔素消費減少 魔素治癒力 魔物知識 精霊の友



ポイントを使わずともスキルが増えた。冒険者ギルドの講習の『解体』と同じようなものだろう。

マントの代金が過剰だというのでもう一個、光魔術も教わった。アンデッドに良く効くらしい。


服はこんな感じだ。



≪火蜥蜴のフレアワンピース≫

防御力+20 魔法防御力+11 火属性半減 耐久力120/120

火蜥蜴の皮で造られたワンピース

なめしが足りていないため耐久力が低い



あいすいません。なめしが足りていれば”革”と表記されていたかも。勉強不足ですね


ジャンパータイプのフレアスカートだ。防御も魔法防御もかなり高い。初期服は防御3だぞよく生きてたなわたし。

火に強いのもいい。これならサラマンダーのブレスをくらっても一発で死んだりはしないかもしれない。

説明文さんのアドバイスに従ってなんかそれっぽくなめすと、フィオレさんとわたしのマントの表記は”革”になった。

耐久力が80も違うのでまたサラマンダーを倒した時に作り直したいね。



護衛の仕事は多い。

街道を行くかぎり、それほどモンスターは現れないそうなのだが日に七回は戦闘している。

出てくるのはジャグラーパペットと言う木の人形だった。四本の腕で魔力弾を放ってくる。

なかなか厄介だがパーティーで戦えるならそれほど苦戦しない相手だった。


盾戦士のジューゴさんと剣士のカルナックさんが人形の気を引き、魔術師コンビのヨヨギさんとフィオレさんが魔術で攻撃をする。わたしも弓矢で攻撃するが、生物ではないため効いているのかいまいちよくわからない。


帝国領ではこういった魔導生物が多いらしい。

彼らを見ているとパーティーの安定感をうらやましく思う。でも経験値や報酬を人数で割ることを考えるとどうなのか。

早く狩れるなら断然パーティーの方がいいよね。


モンスターの強さ的には国境付近のサラマンダーが一番強かったね。

知性があった人族は一番安全な土地に首都を作った。首都から離れるほどモンスターが強い傾向がある。

これから帝都に向かうにつれてどんどんモンスターが倒しやすくなっていくそうだ。


馬車の旅は快適だった。実際の馬車だったらもっと凸凹した道のせいでお尻が安定していなかっただろうけど、ここはゲーム。移動用の馬車は乗った人をそれほど不快にせずに目的地まで運んでくれる。

それになぜかポポロさんのわたしへの待遇が良い。ご飯時には肉や魚を一切れ多くくれるし、おやつもくれる。おやつ・・・なるほどこれはセルティナにも共通するものだ。

てことは好感度が高いんだろう。

サラマンダーから助けたからか、好感度が爆上がりしてしまったらしい。波動の白猫の面々がそうなっていないのは、彼らはサラマンダー相手に命の危機をそれほど感じていなかったからかもしれない。


好感度イベントはまだ終わりが来ない。帝都についてからもしばらくは好感度が上がりやすいままだろう。

好感度システムはちょっと怖い。

弟からの話で必ずしも良い面だけではないと教えられたからだ。

上げすぎて肉が欲しいとか言われないように気を付けよう・・・。



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